今後、住友ゴムはDUNLOPをグローバルでプレミアムタイヤブランドとして展開していく。DUNLOPブランドの歴史や知名度を生かして、路面状態に合わせてゴムが自ら性質を変化する新技術「アクティブトレッド」を搭載した次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」や独自技術を備えたフラグシップタイヤ「SPORT MAXX(スポーツマックス)」と「GRAND TREK(グランドトレック)」、プレミアム車両向け新車用タイヤ、モータースポーツ向けタイヤを販売する。
FALKENブランドでは、各地域で培った商品企画力やマーケティング力を生かし、ファン層に向けた商品などを展開していく。
さらに、DUNLOPを同社の基幹ブランドに位置付け、タイヤ事業とスポーツ事業の共同でブランド強化活動を推進する。モータースポーツでのブランド投資やテニス用品でのグローバルマーケティング活動を加速させていくことで、全世界におけるDUNLOPブランドの価値を高める。
住友ゴムは北米市場ではFALKENブランドの展開で培ってきたナショナル小売りと1万8000店の独自ネットワークを活用して、DUNLOPブランドの商品を投入し、主に乗用車用タイヤのラインアップを拡充する。
投入する商品としてはアクティブトレッドを搭載したタイヤやCUV(Crossover Utility Vehicle)専用タイヤなどを予定している。スポーツ事業「Dunlop Sports Americas(ダンロップスポーツアメリカ)」とクロスマーケティングを行い、ブランドを強化していく。FALKENブランドでは「WILDPEAK」シリーズを中心にSUV向けタイヤのラインアップを拡充する。
これらの取り組みにより、北米市場での販売タイヤ本数の構成比で2030年に2024年と比べてプレミアム商品の乗用車用の割合を10ポイント増とし、全体に占めるプレミアム商品の割合も5ポイント増の75%とする。
ドイツや周辺の経済国エリアなどを中心とした欧州では、Goodyearの販路を引き継ぎDUNLOPブランドでアクティブトレッド技術を備えたオールシーズンタイヤや電気自動車(EV)用タイヤ、SPORT MAXXなどの商品を展開する。さらに、テニスのATPツアーにおけるDUNLOP商品の露出を活用しブランドの認知度を高める。FALKENブランドではファン層に向けた商品でTier2トップレベルのポジションを保持する。
これらの取り組みにより、欧州市場での販売タイヤ本数の構成比で2030年に2024年と比較して全体に占めるプレミアム商品の割合を15ポイント増の40%とする。
なお、DUNLOPブランドはTier1のタイヤブランドの中でも欧州、北米、オセアニアで高い認知率を得ている。認知率は欧州で80%、北米で55%、オセアニアで85%といずれもFALKENブランドより高い。
住友ゴム 代表取締役 専務執行役員の西口豪一氏は、「北米についてはGoodyearがGoodyearブランドでタイヤ商品をリリースしており、ほとんどDUNLOPブランドで販売していないため認知度が落ちている。ただ、一般消費者の認知度は落ちているが、販売店などでは認知度が高く、『DUNLOPブランドでタイヤの新商品が発売されたら売りたい』と言う販売店もある。店頭にDUNLOPブランドの商品が増えれば一般消費者の認知度は上がるとみている」と語った。
同社は今回のDUNLOP商標権獲得を弾みにして2023〜2027年を対象とした中期経営計画の財務目標の前倒し達成を目指す。2025年3月には中計の見直しと成長戦略を発表する予定だ。
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