住友ゴムがタイヤセンシング技術を2024年に発売、米国企業と故障予知サービスも開発材料技術(1/4 ページ)

住友ゴム工業は独自のタイヤセンシング技術「センシングコア」を自動車メーカーに新車用のソフトウェアとして2024年に販売開始する。現在は米国車両予知会社のViaductとセンシングコアを用いたトータル故障予知ソリューションサービスの開発を進めている。

» 2023年08月10日 10時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 住友ゴム工業は2023年8月7日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、同年2月に策定した新中期経営計画に向けた構造改革事業の取り組み、米国工場/北米事業の取り組み、2025年までの取り組み、同社の企業理念「Our Philosophy」の具現化に向けた取り組みを説明した。会場では、2023年12月期上期(同年1月1日〜6月30日)の決算と通期見通しも紹介した。

北米事業は2023年に黒字化の見通し

 住友ゴム工業は2023〜2027年を対象とした新中期経営計画で、2025年までに既存事業の選択と集中を行いつつ、基幹システムの刷新/DX人材の育成による成長事業の基盤づくりを進めることを掲げている。加えて、2026年以降は事業ポートフォリオの最適化による成長事業のビジネス拡大を図る。これらの取り組みにより、2027年の財務目標である事業利益率7%やROE(自己資本利益率)10%、D/E Ratio(負債資本倍率)0.6%、ROIC(投下資本利益率)6%の達成を目指している。

新中期経営計画の骨子のイメージ[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業

 既存事業の選択と集中として行う構造改革事業の取り組みでは、約10事業/商材を選定し先行して6事業/商材で構造改革を推進している。この6事業/商材では2023〜2024年をめどに1400億円の資本を投じ、事業利益を200億円改善し、ROICを最大で2ポイント改善する見込みだ。加えて、その他4事業/商材では2024〜2025年をめどに400億円の資本を投じ、事業利益を30億円改善し、ROICを最大で0.5ポイント改善する。

構造改革事業の取り組み[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業
住友ゴム工業 代表取締役社長の山本悟氏

 米国工場/北米事業の取り組みに関して、国内拠点からのサポートなどにより生産性が向上し米国工場の損益は改善しつつあるが、ROICを重視した経営の観点からあらゆる選択肢を検討している。北米事業の2023年通期事業利益は主力商品の増販と工場の改善に加え、外部要因もあり黒字化の見込みだ。住友ゴム工業 代表取締役社長の山本悟氏は「北米事業は一時的に赤字になっていたが、2023年は米国工場が生産するFALKENブランドのタイヤ『WILDPEAKシリーズ』が前年比1.2倍の増販となる見込みで好調だ。併せて、低採算品の中止などによってSKU(Stock Keeping Unit)の削減を進めている。生産面では、米国工場が計画通り生産性が改善し、原材料輸送費の低下など外部環境の改善もあり、2023年の事業利益は黒字化を見込んでいる。2024年には米国工場で高機能品の生産構成増による収益アップで黒字幅が拡大するだろう」と話す。

米国工場/北米事業の取り組み[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業

 2025年までの取り組みについては、タイヤ事業で運営/組織体制の再構築、デジタル人材の育成(DXリテラシー教育)、変革プロジェクトを進めている。タイヤ事業では2024年に向け、調達、商品企画、技術、生産、物流、販売、アフターサービスを扱うタイヤ事業本部の構築を構想している。

 デジタル人材の育成では、3500人の社員をデジタル人材に育て上げることを目標に、2023年末までに約1500人のデジタル人材を育成する。さらに、900人の社員を専門性が高い人材に育て上げることを目指しており、このうち2023年末までに約500人を育成できる見込みだ。「いずれの人材も計画通り育成が進んでいる」(山本氏)。

 変革プロジェクトでは、利益を創出するさまざまなプロジェクトを展開している。一例を挙げると、2025年までにSKUの約3割削減に向け、製造、販売、技術が一体となった取り組みによりSKUの約2割削減を実施している。

2025年までの取り組みの進捗[クリックで拡大] 出所:住友ゴム工業
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