三菱電機では家電由来の混合プラスチックのリサイクルを推進している。このリサイクルの中核を担うのが子会社のグリーンサイクルシステムズだ。グリーンサイクルシステムズに、設立経緯、概要、位置付け、混合プラスチックのリサイクルプロセス、導入しているプラスチック選別技術、今後の展開などについて聞いた。
国内では近年、循環型社会の実現に向けてさまざまな企業が連携し、プラスチックのリサイクルに取り組んでいる。しかし、使用済みの家電などで使用されている混合プラスチック片をリサイクルするには、破砕しプラスチックを種類ごとに高度に選別する必要がある。
こういった状況を踏まえて、三菱電機では子会社であるグリーンサイクルシステムズ(GCS)に静電選別などのさまざまな技術を導入し、使用済み家電のプラスチック片の再資源化を進めている。
GCS 製造管理部 部長 兼 製造技術課 課長の筒井一就氏に、GCSの設立経緯、概要、位置付け、混合プラスチックのリサイクルプロセス、導入しているプラスチック選別技術、今後の展開などについて聞いた。
MONOist GCSの設立経緯について教えてください。
筒井一就氏(以下、筒井氏) 国内では2001年に家電リサイクル法が施行され、それ以前はごみだった使用済み家電由来の混合プラスチックの再資源化が推奨されるようになった。そこで、三菱電機は国内で発生する使用済み家電から生じる混合プラスチックの大きな量に目を付け、こういったプラスチックなどを対象としたリサイクル事業の検討を開始した。
2005年には工場スケールに対応する混合プラスチック向け選別技術を開発するとともに、混合プラスチックから再生プラスチックを作れる技術の開発も行った。同年にはこれらの技術を適用し混合プラスチックのリサイクルが行える試作プラントを建設した。
2009年6月にはGCSが設立され、2010年4月には試作プラントを発展させる形で千葉市緑区に建設した混合プラスチックリサイクル工場の操業がスタートした。
MONOist GCSの概要についても教えてください。
筒井氏 GCSは、家電リサイクル由来の混合素材の高純度選別による再生素材生産を事業としており、混合プラスチックだけでなく、圧縮機や熱交換器も調達し、鉄や銅、アルミニウムを再生している。当社は産廃業者ではないため、家電リサイクル工場から家電由来の混合プラスチックや圧縮機、熱交換器を購入し、再資源化している。混合プラスチックのリサイクル設備は週5日間の24時間操業を昼夜2交代で運用している。金属のリサイクル設備は週5日間の8時間操業を昼夜2交代あるいは変則2交代で運用している。完全週休二日制のため全体の操業日数は243日だ。
GCSのリサイクル工場は土気(とけ)緑の森工業団地内にあり敷地面積は2万5344m2で、建物面積は1万2311m2となっている。生産エリアは8000m2で、倉庫などその他のエリアは4000m2だ。60人の従業員が所属している。
建物は1階がリサイクル工場となっており、2階は事務所や共用エリアで、3階は三菱電機グループで使用済み家電/電子機器の資源リサイクルを行うハイパーサイクルシステムズ(HCS)が入居している。
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