MONOist 製品品質を保証する設備や環境配慮の対応についても教えてください。
筒井氏 製品品質を保証する設備としては、フレーク純度測定機やガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)、蛍光X線分析計を備えている。フレーク純度測定器はリサイクル工場で生産した再生PPやPS、ABSのフレークの純度を測ることに活用している。GC/MSと蛍光X線分析計は、RoHS認証に対応するために保有している設備で、これらによりリサイクル工場の生産品に対して、RoHS指令で規制されている有害物質などの含有濃度を計測している。特定臭素系難燃剤やフタル酸エステルの残留濃度はGC/MS分析計による抜取り検査で確かめている。
環境配慮の対応に関して、GCSのリサイクル工場では水循環装置を導入している。水循環装置により湿式選別用の水はろ過して再活用している。ろ過で発生する汚泥は加圧脱水され水は再利用されるため、排水は一切出ない。
加えて、リサイクル工場を含むGCSの建屋では、環境に与える影響を建設前に調査、予測、評価し、その結果を公開して住民や関係機関の意見を聴く環境アセスメント(環境影響評価)を反映した設計により、騒音、振動、粉じんに対策している。
作業環境については、高度に自動化された生産設備を導入し、人と機械の動線分離を徹底したことで、従業員が安全に働けるようになっている。
MONOist 最後に改めてGCSと他のリサイクル工場の違いや今後の展開について教えてください。
筒井氏 家電メーカー資本のプラスチック再資源化工場として使用済み混合プラスチックの選別まで行っているのはGCSだけだと考えている。そこが大きな違いだ。
今後は、三菱電機が目標として掲げる「家電製品におけるリサイクル材使用率の向上」に引き続き協力していく。三菱電機の先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)などが開発したリサイクル技術の量産性検証も行う。先端技術総合研究所が最近開発した「スマート静電選別」についても、GCSのリサイクル工場で量産性を検証していく予定だ。
加えて、リサイクル工場への設備投資も続ける。直近の事例ではリサイクル工場に3台目の押し出し機を導入した。3台目の押し出し機は、フィルターの異物除去性能が高く、意匠部品でも使えるプラスチックペレットを生産できると考えている。
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