三菱電機は、ダイサン・と共同で、三菱電機グループの家電リサイクル事業で長年培ってきた技術を活用した独自のプラスチック高度選別実証機を開発し、ダイサン・で運用を開始した。
三菱電機は2024年9月11日、ダイサン・と共同で、三菱電機グループの家電リサイクル事業で長年培ってきた技術を活用した独自のプラスチック高度選別実証機を開発し、ダイサン・で運用を開始したと発表した。
近年、循環型社会の実現に向け、資源有効利用促進法の改正やEUが制定した自動車の廃棄に関する指令「欧州ELV指令」など、プラスチック再生材の利用を促進する規制の整備が進み、プラスチックリサイクルの重要性が高まってきている。
一方、プラスチック製品の中には、数種類のプラスチックが混在しているものがあるため、より高純度で安定的に各廃プラスチックを選別するリサイクル手法の確立が課題となっており、三菱電機はこの課題解決に向けてさまざまな分野で実証に取り組んできた。
今回運用を開始した実証機は、家電リサイクルの分野で長年にわたり三菱電機と協力関係にあるダイサン・が、三菱電機から技術提供を受けて製造したもので、三菱電機グループが保有する高度選別技術の1つである「静電気」を利用した選別技術を活用している。
この実証機は、三菱電機グループの家電プラスチックリサイクル工場で実際に稼働している静電選別装置と同規模の毎時200kgの処理能力を有す。プラスチックの種類が異なれば多くの場合、摩擦帯電傾向に何らかの差が生じるという静電気の性質を生かし、黒色のプラスチックやフィルム状のプラスチックなども含む多様なプラスチックも選別できる。
さらに、対向する電極をあえて異なる形状にすることで、選別対象のプラスチックへの高い電界の印加を可能とし、従来機と比べ約1.5倍の回収率改善を実現。電極に自動清掃機能を備え、電極端部の電界を緩和する工夫を施したことで、異常放電の発生を抑制し安定性の高い静電選別も可能とした。
加えて、静電選別に影響する因子をセンシング可能な「センサー」と、センシングデータを解析し仕切り位置や電圧の最適化を行う「AI(人工知能)」を搭載可能とする拡張性も兼備。これにより、原料変動に応じたリアルタイムでの選別条件の最適化や、オペレーションノウハウ不要で常時最高効率の静電選別を実現する「スマート静電選別」を実装できる。
今後は、多様な業界/分野で廃プラスチック選別の実証および課題解決に取り組み、プラスチック高度選別装置の製品化と2025年度の受注開始を目指す。また、プラスチック選別情報とオペレーションノウハウをデジタルトランスフォーメーション(DX)化したソリューション「Recycle as a Service(RaaS)」のサービス展開も推進する。
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