トヨタはさらなる「足場固め」へ追加投資、2024年度通期業績見通しも据え置き製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2024年11月07日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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「足場固め」をどのように進めているのか

 2024年度上期に実施した「足場固め」をどのように進めているかの説明も行われた。宮崎氏が目標として掲げるのが「全社でのリードタイム短縮」である。そのために必要なことは「無駄を省く、やり直しをなくす、誰でもできるようにすること」(同氏)だという。

「足場固め」は「全社でのリードタイム短縮」を目標としている 「足場固め」は「全社でのリードタイム短縮」を目標としている[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 例えば、重い部品の運搬について、従来は18kgの部品を人力で運搬していたところを、機械の力で負荷軽減するような誰でも働ける環境の整備や、付加価値を高める作業の割合である「正味率」を向上させる活動などに、部門を越え、機能を越えて、全社で取り組んできたとする。

 具体的な取り組み事例として挙げたのが、社内で「AREA(エリア)35」と呼ぶ、開発/生産/販売が一体となった正味率の改善プロジェクトだ。国内10工場において、部品種類を最大80%削減することで、広い面積が必要だった在庫スペースを35%削減することに成功した。これにより、生産可能台数が年間で8万台増加し、フルモデルチェンジ3回分に相当する開発工数も捻出できたとする。宮崎氏は「国内10工場でのこの成果を全世界の54の工場に広げて、さらなる成長の原動力を創出する」と述べる。

「AREA35」の事例 「AREA35」の事例[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 「足場固め」によるリードタイム短縮は、足元で好調なHEVを中心とする電動車でも大きな効果を生み出す。2024年度に入ってからEVの需要にブレーキがかかる一方で、PHEVのニーズが高まるなど電動車の市場は変動が大きくなっている。トヨタ自動車は、HEVだけでなくPHEVとEV、FCEV(燃料電池車)なども手掛けマルチパスウェイを強みとしているが、今後はそれぞれの実需の変化に合わせたプロジェクトの見直しと生産の構えの変更をより柔軟に行える体制を構築して対応していく方針である。

電動車でも「足場固め」によって実需の変化に合わせたプロジェクトの見直しと生産の構えの変更が可能になる 電動車でも「足場固め」によって実需の変化に合わせたプロジェクトの見直しと生産の構えの変更が可能になる[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 また電動車の普及を進める上で重要なバッテリー技術の手の内化の施策では、100%子会社化によってプライムアースEVエナジーから社名変更したトヨタバッテリーで三元系を、パナソニック ホールディングスとの合弁であるプライム プラネット エナジー&ソリューションズでLFP(リン酸鉄)系を、豊田自動織機との共同開発で全固体電池の開発を進めていく。電池の種類当たりの生産効率の向上に向けて、EV用とPHEV用の電池の共用化なども図って柔軟性を確保するとしている。

バッテリー技術の手の内化の施策 バッテリー技術の手の内化の施策[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

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