三菱電機は同社のFA機器とロボットを組み合わせたロボットで、「パズルキューブを最速で解くロボット」のギネス世界記録に挑戦し、世界記録の更新に成功した。
三菱電機は2024年5月23日、同社のFA機器とロボットを組み合わせたロボットで、「パズルキューブを最速で解くロボット」のギネス世界記録に挑戦し、これまでの認定記録だった0.38秒を上回る0.305秒を達成し、同月21日にギネス世界記録に認定されたと発表した。
パズルキューブは立方体を3つの軸で回転させながら、立方体の6つの面を構成する9つの正方形を動かし、正方形の各面に付けられた色を6面で同色にそろえることで完成となる。
今回、ギネス世界記録を実現したのは「TOKUFASTbot(TOKUI Fast Accurate Synchronized motion Testing Robot、トクファストボット)」だ。
回転機構に同社製サーボモーターを使用し、90度回転0.009秒の動作を実現している。その他、シーケンサー、産業用PC、タッチパネル表示機器、カメラなど主要機器を同社製品で構成しており、機器間の高速な信号接続と制御が可能になった。
また、家電や鉄道など幅広い分野の製品に利用されるモーターの製造工程で、コイルを作る巻線装置に用いられる、電線を正確な位置に速く配置する動作制御(位置決め技術)を応用している。
さらに、独自のAI(人工知能)を用いたアルゴリズムを応用し、ブロックの位置やロボットハンドの影によって同じ色の見え方に差異があっても補正し、キューブの色を正確に識別。特に色味が近く識別が難しい赤色とオレンジ色のブロックを自動で認識、識別している。
最短の手数でブロックの色を全てそろえるため、キューブの回転手順を解析する計算プログラムの最適化により、演算処理の高速化、高精度化を図っている。
三菱電機 コンポーネント製造技術センター長の吉村裕司氏は「当センターは、2016年の創設当初からモーターやパワー半導体関連製品などのモノづくりに関する技術開発に取り組んできた。当社の製品に数多く搭載されているモーターの生産性と効率性を高める上で重要な高速かつ高精度の巻線を実現する技術力を証明するために、若手エンジニアたちが自ら世界記録への挑戦を発案し取り組んだ結果、今回、ギネス世界記録に認定され、技術力向上へのモチベーションもさらに上がり、大変うれしく思う」と話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.