三菱電機は「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」において、ミライ化成、郷製作所、放電精密加工研究所とともにCFRPの成形から2次加工までの技術を展示した。
三菱電機は「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」(2023年11月28日〜12月2日、幕張メッセ)において、ミライ化成、郷製作所、放電精密加工研究所とともにCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の成形から2次加工までの技術を展示した。
炭素繊維と樹脂を組み合わせたCFRPは軽量かつ高強度のため、現在では航空機や自動車、産業機械、スポーツ用品など幅広い分野で使われている。一方で、CFRPは耐熱性が高いため焼却が難しく、廃棄後のリサイクルの難しさが課題となっている。今後のさらなる普及を見据えると、CFRPのリサイクル技術が不可欠だ。
今回の展示では材料から2次加工までの一連の技術を紹介している。まず材料に関しては、ミライ化成の再生炭素繊維を紹介した。同社ではCFRPの端材や廃材などから樹脂と炭素繊維を分離し、再生炭素繊維として回収する取り組みを行っている。ブースにも、再生炭素繊維のサンプルや再生炭素繊維から作られた不織布などが置かれた。
次の成形では、放電精密加工研究所が手掛ける4軸直動式のサーボプレス機「ZENFormer」を展示。ZENFormerは、1枚のスライドの4隅に配置されたサーボモーターとボールねじで直動式に駆動する機構で各軸が独立して動作する。高分解能なリニアスケールとフルクローズド/フィードバック制御により高精度に平行を維持する。そのため、CFRPのリサイクル材を均一に加圧、平たん化し、ばらつきの少ない高精度な成形を行うことが可能だ。
ブース内の実機では高い精度で平衡を保つため、稼働中もスライドの上に立てられた硬貨が倒れない様子を紹介していた。また、郷製作所のプレス成形用温調制御装置による徹底した温度管理が、より高速、高精度の安定した成形を実現する。専用の金型と金型温調用のコントローラーを導入することで、熱可塑性の複合材料の短時間成形が可能になる。
そして2次加工に用いるのが、三菱電機のCFRP用炭酸ガス3次元レーザー加工機「CVシリーズ」という流れだ。CVシリーズは独自構造の炭酸ガスレーザー発振器や加工ヘッドにより、CFRPの微細、高速加工を実現している。
非接触のレーザー加工なら、従来のマシニングセンタによる加工で生じる工具の摩耗がなく、加工速度もレーザー加工の方が速い。砥粒を混ぜた高圧の水で加工するウォータージェットのように廃液なども発生しない。ブースではCVシリーズとマシニングセンタ、ウォータージェットによる切断面の違いなどを紹介した。
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