IIFES2024 特集

デジタルに舵を切る三菱電機FA、新たにロジックシミュレーターなど訴求IIFES 2024

三菱電機は「IIFES 2024」において、新たに発売したロジックシミュレーターや外観検査ソフトウェアなどを訴求した。

» 2024年02月02日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 三菱電機は「IIFES 2024」(2024年1月31日〜2月2日、東京ビッグサイト)において、新たに発売したロジックシミュレーターや外観検査ソフトウェアなどを訴求した。

エンジニアリングチェーン全体でデジタル活用を推進

 三菱電機のFAシステム事業では「Automating the World」をグローバルスローガンとして掲げている。ここには、これまでユーザーとともに現場で築き上げてきたノウハウを継承しつつ、最先端のオートメーション技術によって変革を支え、より豊かな社会の実現に貢献していくという思いが込められている。

三菱電機の水嶋一哉氏[クリックで拡大]

 人手不足や地政学リスク、環境対応など製造業が現在、対峙する課題は多岐にわたる。

 三菱電機 FAシステム事業本部 DX推進プロジェクトグループ FAデジタルエンジニアリング推進部 部長の水嶋一哉氏は「これまでわれわれは、シーケンサーやサーボ、ロボットなどハードウェアを中心に製造業の自動化を推進してきたが、製造業を巡る課題も変化している。製造業が見ていかなければならない指標が広がっている。モノづくりの現場にたまっているデータをうまく活用することで、それらの課題に対応していくことを目指していく」と語る。

 そこで重要になるのが製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)、デジタルマニュファクチャリングだ。この実現のため、三菱電機では近年、ソフトウェアの充実に力を注いできた。具体的には、3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini」やFAとITのデータを一元的に管理するIoTプラットフォーム「GENESIS64」、AI(人工知能)活用の外観検査ソフトウェア「MELSOFT VIXIO」などを提供してきた。

 その中で、2024年1月に新たに発売したのがロジックシミュレーター「MELSOFT Mirror」だ。生産現場の制御システムをシミュレーション可能なソフトウェアとなっており、ネットワークを含めたシステム構成を仮想空間上で構築し、CPUユニットなら最大30台、そこに加えてネットワークやI/Oユニットなどその他ユニットで最大20台と、検証可能台数は最大50台となっている。CPUユニットが10台なら、その他ユニットは40台まで検証できる。どこからでも、複数人が実機を用いずに、I/Oや工程間のプロセスを含めた制御ロジックのシミュレーションを行うことができる。

会場で展示したロジックシミュレーター「MELSOFT Mirror」(左)と、エンジニアリングソフトウェア「GX Works3」(右)の画面

「大規模なシステムになると、1人でプログラミングしていることは少なく、複数の人が手分けして作業している。MELSOFT Mirrorを使うことで、複数の方がいろいろな場所からアクセスして事前に大規模システムのシミュレーションが得られる。事前検証の時間の短縮化、精度の向上を実現できる」(水嶋氏)

 2023年度中にはMELSOFT Geminiとの連動も可能になる見込みで、制御プログラムの実行結果を3Dで可視化し、ライン、装置全体の動作を検証することができ、メカの干渉もチェックできるようになる。

 ブースでは、MELSOFT VIXIOも紹介した。学習した良品データからの乖離を見る良品学習と、大量のデータから異なるものを検出する異常学習の2つを使用できる。外観検査のタスクの設定はフローチャート形式になっており、AIを活用した外観検査システム構築に必要な機能を全てプログラミングせずに構築できる。検査日時、シーケンサーデータ、撮像画像、検査結果を自動でひもづけて一括保存でき、トレーサビリティーの確保も容易となっている。カメラもGigE(Gigaビットイーサネット)対応のカメラならメーカー問わず使用できる。

AI活用の外観検査ソフトウェア「MELSOFT VIXIO」を使ったデモ機[クリックで拡大]

「製品としては、予兆保全から始まり、現場の見える化や設計段階のシミュレーションなどのソフトがそろってきた。設計、生産、保守などエンジニアリングチェーンのトータルでデータを活用していく段階に入った。われわれはデジタルに舵を切って、トータルでFAの提案を進めていく。データの標準化、オープン化も進めて、われわれにできないところはパートナーとともに提案を広げていきたい」(三菱電機 戦略ユニット FAデジタルマーケティングセンター プロモーショングループ 専任の安部潤一郎氏)

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