ニデック聖域なき構造改革へ、過去最高並ぶ決算も不採算/非中核事業見直し製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ニデックは東京都内およびオンラインで記者会見を開き、2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)連結決算の概要と、2027年度までの新たな中期経営計画「Conversion 2027」を発表した。

» 2025年04月25日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 ニデックは2025年4月24日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、2025年3月期(2024年4月〜2025年3月)連結決算の概要と、2028年3月期までの新たな中期経営計画「Conversion 2027」を発表した。ニデック 代表取締役社長 CEOの岸田光哉氏は「これからの3年間は、ニデックの新たな歴史のチャプターを開けるべく、新たに構造転換というページを開けていく」と決意を示した。

売上高、営業利益などは過去最高更新、3つの施策で体質転換へ

 ニデックの2025年3月期の売上高は前年同期比11.1%増の2兆6071億円、営業利益は同48.4%増の2402億円、税引き前利益は同17.3%増の2365億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同34.7%増の1677億円となり、いずれも過去最高を記録した。営業利益率は9.2%と、前期の6.9%から大きく改善した。

 2026年3月期の業績は、売上高は2兆6000億円、営業利益は2600億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2000億円を見込む。

2025年3月期の実績と2026年3月期の見通し 2025年3月期の実績と2026年3月期の見通し[クリックで拡大]出所:ニデック

 中期経営計画のConversion 2027では、高収益構造への“転換”、成長を支える事業5本柱への“転換”、真のグローバル体制への“転換”の3つの方針の下、事業再編や拠点統合、人員削減など収益構造の抜本的改革を行い、利益率の改善を実現する。

 具体的には、変動費、固定費、戦略投資の3つの施策で1500億円規模の体質転換を図る。そして、2027年度には売上高2兆9000億円、営業利益3500億円、営業利益率12%などを目指す。

 岸田氏は「われわれの長い歴史の中でも、(2025年度は)売り上げが伸びないということを対外的に宣言するのは初めてかもしれない。売り上げが伸びなくても利益の改革を優先する“仕込み”だと思っていただきたい」と語る。

中期経営計画「Conversion 2027」の目標と方針 中期経営計画「Conversion 2027」の目標と方針[クリックで拡大]出所:ニデック
体質転換を図る3つの施策 体質転換を図る3つの施策[クリックで拡大]出所:ニデック

不採算/非中核事業は売却も視野、拠点数の最適化も

 変動費では1000億円の削減を目指し、不採算事業および非中核事業を1つ1つ見直す。岸田氏は「何年もやっているとノンコアの事業は必ず出てくる。事業撤退、事業再編も視野に入れてやっていく。事業売却も含めて、今まで着手してこなかったことに聖域なく取り組む」と述べる。

 固定費では500億円の削減に取り組む。ニデックグループが持つ248の生産事業所のうち、従業員数100人未満の事業所が34%ある。これらの半減をめどに取り組む。既に欧州、米州では小規模事業所の統合などに着手しており、今後はグローバルで取り組んでいく。500人以上の生産事業所でも、岸田氏は「本当に最高の生産性で運営できているかどうか、もう一度原点に戻って見直していく」とする。

 改革の象徴として、中国の平湖にある車載製品の工場で、最先端のDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れた間接部門や生産工程のオペレーションのひながたを作り、他工場への横展開を図る。また、大規模事業所含めて、間接部門の効率化、人員削減を進める。

拠点の統廃合、最適化を進める 拠点の統廃合、最適化を進める[クリックで拡大]出所:ニデック
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