ニコンが補修用途向け金属3Dプリンタ発売へ、加工パスは3Dスキャナーで自動生成金属3Dプリンタ

ニコンは損傷や摩耗したワークの補修を主な目的としたDED方式の金属3Dプリンタ「Lasermeister LM300A」および3Dスキャナー「Lasermeister SB100」を発売することを発表した。

» 2024年04月10日 10時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 ニコンは2024年4月9日、損傷や摩耗したワークの補修を主な目的としたDED(Direct Energy Deposition)方式の金属3Dプリンタ「Lasermeister LM300A」(以下、LM300A)および3Dスキャナー「Lasermeister SB100」(以下、SB100)を発売することを発表した。

 LM300Aは、主に研究開発での使用を想定した現行の「Lasermeister LM100A」シリーズの高い加工精度は変わらず、産業用途向けにより大型ワークの造形が可能になった。SB100は、ワンクリックでワークの自動スキャンおよび加工パスデータの自動生成ができ、このデータを元にLM300Aで造形する。両装置を組み合わせることで、タービンブレードや金型など産業用部品向けの幅広い補修が可能になる。

3Dスキャナー「Lasermeister SB100」(左)と金属3Dプリンタ「Lasermeister LM300A」(右)[クリックで拡大]出所:ニコン

 具体的には、損傷、摩耗したワークをSB100にセットすると、チャンバー内の高精度スキャナーでワークを自動測定する。その後、損傷、摩耗したワークの形状と理想形状(CADデータ)とを照合して差分を抽出し、損傷、摩耗箇所を修復するための加工パスデータを自動生成する。加工パスデータはLM300Aに転送され、DED方式で加工。完了後、ワークをSB100に戻し、理想形状に補修されているかどうかをスキャンして検査する。

 LM300Aは、ニコンが半導体露光装置の開発で長年培った高度な光学技術と精密制御技術を活用。タービンブレードの場合、XY軸方向+0〜+0.5mm、Z軸方向+0.5〜+1.5mmの高精度な加工が可能だ。また、溶融池(メルトプール)を常に監視する、メルトプールフィードバック機能がリアルタイムでレーザーパワーを制御し、クラックのない高品質な補修を安定的に行う。LM300Aは、ニッケル基合金(Ni625、Ni718)、ステンレス鋼(SUS316L)、ハイス鋼(SKH51)、チタン合金(64Ti/Ti-6Al-4V)の材料に対応しており、今後、金属材料は順次増やしていく。

 従来のタービンブレードの補修は、ブレードごとに摩耗した部分を切削、研削し、その後、溶接で金属に肉盛りし、研磨加工で最終形状に仕上げていた。しかし、この方法では熟練溶接工による長い作業時間が必要な他、切削、研削による廃棄物の発生、補修品質のばらつき、リードタイムの長期化などの課題が生じていた。ニコンの試算では、LM300AおよびSB100を活用することで、補修プロセスにおける溶接工程の作業時間を最大65%削減し、研削や研磨などの後加工を最小化することが可能となる。

 LM300Aの装置寸法は1800×1350×2085mmで最大加工寸法はX:297×Y:210×Z:400mm、軸数は3軸となっている。SB100の装置寸法は1040×1350×2085mmで最大スキャンサイズは径330×450mmとなっている。

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