石川県内を中心に令和6年能登半島地震による工場への影響をまとめた。
2024年1月1日、石川県の能登半島において最大震度7を記録する「令和6年能登半島地震(以下、能登半島地震)」が発生した。能登半島を中心に石川県内には製造業の工場が多数ある。同県内を中心に能登半島地震による工場への影響をまとめた。
【1月5日18時情報更新】東芝、村田製作所の第2報とともに、不二越、信越化学工業、デンカ、日産化学、日本ゼオン、スギヨの情報を追加した。
【1月9日22時情報更新】東芝の第3報、サンケン電気の第5報までの情報を追加した。
【1月10日0時情報更新】ジャパンディスプレイ、村田機械、KOKUSAI ELECTRICの第2報、トヨタ自動車、三菱ふそうバス製造、コマツの情報を追加した。
【1月10日18時情報更新】日本ガイシの情報を追加した。
【1月12日0時情報更新】村田製作所の追加情報、EIZOの第2報、トヨタ自動車の追加情報、コマツの第2報を追加した。
【1月15日15時情報更新】東芝の第4報、日本ゼオンと日本ガイシの第2報を追加した。
【1月16日22時情報更新】村田製作所の追加情報、日産化学の第2報を追加した。
【1月17日21時情報更新】サンケン電気の第7報、村田製作所の追加情報、スギヨの追加情報を追加した。
サンケン電気は1月4日、パワー半導体などを手掛けるグループ会社石川サンケン(石川県志賀町)の状況を発表した。
石川サンケンの本社は震度7を記録した石川県志賀町にあり、工場である堀松工場(石川県志賀町)、志賀工場(石川県志賀町)、能登工場(石川県能都町)もその周辺に展開している。
これら拠点の人的被害を含め各拠点の被害状況の確認を進めているが、現地では余震が継続するとともに道路網の寸断や通信インフラ障害があり、確認作業には時間がかかる状況にある。この状況下で、従業員などの安否確認を進めているが、まだ全員の確認ができておらず、これを最優先事項として対応している。また、避難生活を余儀なくされる従業員もいるため、この安全確保も進めていくという。
各工場では建物と生産設備の一部に被害が確認されており、その詳細については引き続き確認を進めていくとしている。
(1月9日までに発表された第3〜5報まとめ)
石川サンケンの従業員の安否確認については完了した。工場被害については、建物は専門家による一次診断では大きな問題がないことが確認できたが、一部の建物についてはさらなる安全確認を進めていく。堀松工場と能登工場の生産設備については、影響の有無を引き続き確認し、確認が終わった設備は生産再開への準備を行う。志賀工場については、停電が続いており、非常用電源を確保して被害確認を開始した。ただし、全容の把握には一定の時間を必要とする見込みだ。
(1月12日の第6報と17日の第7報のまとめ)
石川サンケンの従業員は安否確認を完了しており、震災の二次災害回避に向けた情報提供や生活支援に関する相談を行う専用の窓口を社内に設置して対応している。震災により避難を余儀なくされている従業員を含めて生活支援に関する相談を進めながら、今後の出勤体制を検討していく方針である。
震源に近い3工場(堀松工場、志賀工場、能登工場)については、一部の建物に対する専門的な安全確認を1月24日までに完了する予定だ。生産設備については、出勤可能な従業員やサンケン電気の本社とグループ各社からの応援人員による確認作業を続けている。各設備メーカーからの技術者の派遣も受けて、より専門的な確認や修理対応も始めた。これらの取り組みにより、各装置の確認作業が進んでおり、一部の生産ラインは立ち上げの調整段階に入っている。
工業用水は、水インフラの復旧エリアが順次拡大しており、3工場のある地区への安定的な供給再開に向けた協議を各自治体と行っている。工場内の貯水槽などを活用するため給水車による補給も検討中である。停電が継続している志賀工場については、電力会社との連携/協議を行うとともに、外部からの電源供給に向けた設備の設置も引き続き検討するなどして電力を確保したい考えだ。
これらの状況を踏まえ、堀松工場と能登工場における一部の工程で2月上旬の生産再開を目指すとしている。
東芝は1月2日、ディスクリート半導体の生産拠点である加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)の状況について発表した。
当日出社していた従業員全員の無事を確認した。出社していなかった従業員については、若干名がまだ連絡が取れていないため引き続き確認を急いでいる。工場の安全確認のため地震発生直後から操業を停止し、インフラ、生産工程/装置の状況について確認している。今後は第2報を1月5日17時頃に発表する予定である。
(1月5日17時発表の第2報)
加賀東芝エレクトロニクスの派遣社員を含む従業員全員の無事を確認した。工場建屋は操業再開に支障を及ぼすような破損がないことを確認したものの、クリーンルームの排気配管が広範囲にわたり破損しており、その修復に最優先で取り組んでいる。これと並行して、引き続き製造装置の状況確認を急いでいるという。一部の生産工程については、1月10日の操業再開を目指して復旧を進めているところだ。
(1月9日17時発表の第3報)
加賀東芝エレクトロニクスにおいて引き続きクリーンルームの排気配管の修復を最優先に取り組む。製造装置については、石英などの破損が確認され、手配、修理、交換を進めているが、必要数の確保に時間がかかる可能性があるという。被害の小さかった一部生産工程については1月9日から操業を再開した。なお、新規投入数や、被災前の生産能力復帰時期については、決まり次第発表するとしている。第4報は、1月12日17時頃に発表予定だ。
(1月12日17時発表の第4報)
加賀東芝エレクトロニクスの主力ラインについては、石英の必要数量をほぼ確保した。引き続き全数量の確保に努めるとした。被災前の生産能力に近いレベルへの復帰時期の目標を2月上旬と定め、引き続きクリーンルームの排気配管の修復、装置立ち上げを進めている。第5報は、1月19日17時頃に発表予定となっている。
村田製作所は1月2日、北陸地方にある同社工場の状況を発表した。
震源に近い穴水村田製作所(石川県穴水町)とワクラ村田製作所(石川県七尾市)では、従業員の安否確認を継続している。建物や設備の被災状況については、従業員の安全確保を優先して今後確認するとしている。穴水村田製作所はチップインダクターやコモンモードチョークコイルなどを、ワクラ村田製作所はモジュール製品などを手掛けている。
村田製作所はこれら2拠点の他にも、石川県内に小松村田製作所、金沢村田製作所 金沢事業所、同社 能美工場、ハクイ村田製作所、氷見村田製作所の5拠点、福井県内に福井村田製作所 武生事業所、同社 宮崎工場、金津村田製作所、鯖江村田製作所、アスワ村田製作所の5拠点、富山県内に富山村田製作所の1拠点を北陸地方に展開している。これらの拠点については、一部の負傷者はあるものの、重大な人的被害は現時点では確認しておらず、建物の大きな被害は確認していない。設備の状況は現在確認中としている。
(1月5日発表の第2報)
従業員と家族の安否確認を続けているが、震源に近い穴水村田製作所など一部の拠点では、依然として全員の確認がとれていない状況が続いている。
北陸地方にある村田製作所の工場の内、富山村田製作所は1月3日から、福井村田製作所 武生事業所と同社 宮崎工場は1月4日から一部生産を開始している。また、鯖江村田製作所は1月6日から、金沢村田製作所 金沢事業所と同社 能美工場、金津村田製作所、アスワ村田製作所は1月9日から順次生産を再開する予定である。
震源に近い穴水村田製作所とワクラ村田製作所に加え、モジュール製品やRFID、SAWデバイスを生産する小松村田製作所(石川県小松市)、圧電セラミック部品やセンサーを手掛けるハクイ村田製作所(石川県羽咋市)、セラミックフィルタやセラミック発振子を担当する氷見村田製作所(富山県氷見市)は、生産再開に向けてインフラと設備の状態を現在確認中であり、生産再開時期が分かり次第発表するとしている。
(1月7日、10日、11日発表の追加情報)
福井村田製作所 武生事業所と同社 宮崎工場、鯖江村田製作所は1月6日から、富山村田製作所と金沢村田製作所 金沢事業所と同社 能美工場、金津村田製作所、アスワ村田製作所は1月9日から、当初予定通り生産を開始している。
生産再開に向けてインフラと設備の状態を確認中だった小松村田製作所は1月9日から、ハクイ村田製作所は1月11日から順次生産を開始している。1月11日時点では、氷見村田製作所、穴水村田製作所、ワクラ村田製作所は依然としてインフラと設備の状態を確認中である。
(1月16日発表の追加情報)
北陸地方にある同社工場の従業員と家族の安否確認が完了した。従業員1人の死亡を確認したという。
(1月17日発表の追加情報)
氷見村田製作所は、2月上旬から順次生産を再開する予定である。震源に近い穴水村田製作所とワクラ村田製作所のついては、現在も生産再開に向けたインフラと設備の状態を確認中で再開のめどはたっていない。
ジャパンディスプレイ(JDI)は1月4日、同月3日時点における石川工場(石川県川北町)の状況を発表した。
石川工場の従業員の人的被害がないことは確認できている。工場内では、複数の配管の損傷、漏水、ボイラー停止などの被害が発生している。同工場は1月8日まで冬期休業中のため生産を停止していたが、緊急体制の下で復旧タスクフォースを編成し、1月2日早朝から71人の従業員が生産再開に向けて復旧作業に当たっているという。
(1月9日発表の第2報)
石川工場において、配管の損傷、漏水、ボイラー停止などが発生していたが、従業員と協力会社で復旧に取り組んだ結果、1月8日までにクリーンルーム内の配管、ダクトなどの補修がほぼ完了し、同日から生産装置の立ち上げを開始することができた。今後は、クリーンルームの温湿度調整などに必要な重油とLPG(液化石油ガス)の安定確保が課題となるが、継続して確保に努める方針。今後は全ての装置の正常な稼働を確認した上で早期に通常の生産体制に戻すことを目指していくとしている。
半導体ファウンドリーのタワーセミコンダクターは1月2日、魚津工場(富山県魚津市)と砺波工場(富山県砺波市)の2拠点の状況を発表した。
従業員全員の無事を確認しており、健康状態を優先しながら復旧に向けて安全確保に努めていく方針である。工場建屋への影響や被害はなく、製造工場の損壊も軽微であり、オペレーションへの影響はない。専任スタッフと対策チームが、運用の安全性と安定性の確保に取り組んでおり、装置やインラインへの影響を効率的に修繕しながら、使用可能なリソースを全て活用し、製造と顧客サービスへの混乱を最小限に抑えるために対応に当たっており、装置の再認証を進めているという。
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