能登半島地震による工場への影響まとめ(追記あり)工場ニュース(3/4 ページ)

» 2024年01月05日 06時30分 公開
[MONOist]

素材/化学

信越化学工業

 信越化学工業は1月2日、直江津工場(新潟県上越市)と武生工場(福井県越前市)の状況を発表した。

 セルロース誘導体、シリコーン、合成石英などを手掛ける直江津工場は、地震の揺れを感知して設備を自動停止した後、安全な操業再開に向けて点検を進めていた。1月3日から一部の設備で操業を再開しており、今後は安全を最優先としながら確認が取れた設備から順次操業を再開して行く方針である。また、レアアース、レアアースマグネットを生産する武生工場は地震による影響はなかったという。

デンカ

 デンカは1月2日、青海工場(新潟県糸魚川市)と五泉事業所(新潟県五泉市)の状況を発表した。

 従業員への被害は確認されていない。青海工場は、安全確保のために一部を除き緊急停止をしている。危険物の漏えいなどの甚大な被害は確認されていないこともあり、安全を最優先としながら操業再開に向けた調査を継続していく方針である。五泉事業所は、年末年始のため操業を停止しており大きな被害は確認されていない。

 青海工場は、カーバイド化学を軸に、特殊混和材などの無機化学品、特殊合成ゴムなどの有機化学品、半導体生産に必要な原材料などを生産している。五泉事業所は、ワクチンと検査試薬の開発/製造を行っている。

日産化学

 日産化学は1月5日、富山工場(富山県富山市)の状況を発表した。

 これまで富山工場のアンモニアプラントの操業を継続していたが、アンモニア製造設備の一部に損傷が確認されたため1月5日に完全停止した。アンモニアプラントの停止を受けて、アンモニアを原料とする尿素や硝酸、その他アンモニア誘導品の生産の計画停止を実施する。ディスプレイ材料や半導体材料など、アンモニア以外の主要製造設備に損傷はないという。

 現在、アンモニアプラントの損傷程度を精査中であり、今後は安全を最優先に操業を再開する予定。再開時期のめどが立ち次第、速やかに発表する方針だ。また、地震による人的被害や環境影響はなかった。

(1月16日発表の第2報)

 一部設備に損傷を確認した富山工場のアンモニアプラントの稼働を1月5日から停止していたが、1月下旬に製造を再開する。アンモニアを原料とする尿素、硝酸、その他アンモニア誘導品の製造についても、アンモニアプラントの製造再開を受けて順次製造を再開する計画である。

日本ゼオン

 日本ゼオンは1月4日、北陸地域に展開する同社グループの工場の状況を発表した。

 人的被害はなく、全従業員の無事を確認している。氷見二上工場(富山県氷見市、高岡市)と高岡工場(富山県高岡市)は、設備点検のため現在も操業を停止している。再開時期も精査中であるため状況を確認でき次第発表するとしている。ゼオンメディカルの高岡工場(富山県高岡市)は設備点検完了後、1月9日に操業を再開する予定だ。敦賀工場(福井県敦賀市)は設備異常はなく1月2日に操業を再開しており、ゼオンノース(富山県高岡市)も大きな被害がなかったため1月5日に操業を再開している。

 日本ゼオンの氷見二上工場は大型テレビ向けのプラスチックフィルム、高岡工場はフォトレジストや特殊合成ゴム、フッ素系溶剤、高機能樹脂、敦賀工場は中小型デバイス向けのプラスチックフィルムを生産している。また、ゼオンメディカルは医療機器を、ゼオンノースはプラント機器を手掛けている。

(1月12日発表の第2報)

  日本ゼオンの高岡工場は1月10日より、ゼオンメディカルの高岡工場は1月9日より操業を開始した。氷見二上工場は工程の安全点検を継続し、操業を停止している。 操業再開見込みについては、現在精査中としている。

スギヨ

 ちくわやかまぼこの製造で知られるスギヨは1月2日、石川県七尾市内にある本社と北陸工場、商業団地工場などの状況を発表した。

 同日時点で復旧のめどが立っておらず、道路などが寸断され、在庫の出荷も遅延が起こる状況だという。同社は石川県内以外にも、北海道工場(北海道小樽市)や関東工場(茨城県坂東市)があり、これらの自社工場やグループ工場、協力工場の総力を挙げて顧客への対応をしていく方針である。

(1月16日発表の追加情報)

 震災による人的被害はなかった。本社と工場(北陸工場、商業団地工場、グループ企業の能登半島など)の状況を確認し、安全を確保しながら復旧作業を開始している。

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