2023年に公開したMONOist FAフォーラムの記事をランキング形式(2023年1月1日~12月24日のPC閲覧数)で振り返ります。
2023年が間もなく終わろうとしています。皆さまにとってはどんな1年間だったでしょうか。
取材活動においてはコロナ禍後のリアル回帰が進み、全国津々浦々とまではいきませんが、国内の各地を訪問させていただく機会に恵まれました。取材後はいわゆる“とんぼ返り”ですが、タイ滞在10年のブランクがある私にとっては、自分の中の日本地図を塗り直すといいましょうか、どんな風景が広がっているのかに始まり、どこに行くためにどんなアクセスがあり、どれくらいの時間と手間がかかるのかを体感する貴重な機会になっています。
取材領域では、人手不足問題の深刻化を各地で感じました。一方で、人手不足をカバーする自動化関連の技術もAI(人工知能)やセンサーを中心にさまざまな進化を見せています。この技術進化と現場課題をいかに結び付け、具体的に導入を進めていくのかが鍵となりそうです。
それでは毎年恒例となっている、2023年のFAフォーラムの閲覧数ランキングを発表します。
第1位は、ラズパイ活用で“PLCを再発明”、新市場開拓で5年後に売上高10億円規模目指すです。
こちらは、リンクスが2023年1月に発売した産業用コントローラー「TRITON」に関する記事です。TRITONは、小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」の組み込みモジュール版となる「Raspberry Pi Compute Module 4」と、ドイツのCODESYSのPLC(プログラマブルロジックコントローラー)ソフトウェア、OSとしてTRITON向けに特別にチューニングしたLinuxを1つのパッケージにしたものです。
大手のPLCを導入すると費用対効果が合わないが、自作のコントローラーでは機能的に限界を感じているユーザーを対象とした製品です。皆さまにもおなじみのラズパイを活用したこともあってか、閲覧数1位となりました。
第2位は7月から半導体製造装置23品目を新たに輸出規制対象に、その対象品目の内訳です。
経済安全保障などの議論を背景に、TSMCの熊本進出、Rapidus(ラピダス)の北海道進出などもあって半導体産業への関心が高まっています。そんな中、日本政府は半導体製造装置23品目を輸出貿易管理対象とする、外国為替及び外国貿易法(外為法)における経済産業省令の改正を行いました。その具体的内容に関する記事が第2位となりました。第4位にも半導体製造装置23品目の輸出を規制する省令が7月23日に施行、経済安全保障でが入っており、関心の高さが伺えます。
第3位は「ChatGPTに匹敵する」ドイツ新興の生成AI、HPEが製造業への導入例を披露です。
こちらは製造業関連の世界最大級の展示会である「ハノーバーメッセ2023」において、Hewlett Packard EnterpriseがドイツのAIスタートアップであるAleph Alphaの生成AIを用いて行った、自然言語での対話で産業用ロボットの操作をサポートするシステムに関する記事です。
OpenAIのChatGPTを筆頭に生成AIが大変な注目を集めています。その産業利用もさまざまな形で取り組まれており、ロボット操作もその1つであり、読者の皆さまの関心を引きました。
第5位のChatGPTで製造現場カイゼンを簡単に、過去事例や注意点を引き出す生成AI活用事例も生成AI関連の記事です。
中堅自動車部品メーカーである旭鉄工とその改善の成果を外部に展開するIoTサービス企業のi Smart Technologiesによる製造現場でのChatGPT活用の取り組みを追った記事です。取材時点では試験的な面もあったようですが、生成AI活用例の1つとして読者の皆さまの参考になるのではないでしょうか。
次ページでは第6~10位の記事の概要について紹介します。
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