リンクスは2023年1月17日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、産業用コントローラー「TRITON」を同日より販売すると発表した。価格は標準モデルで6万8000円(税抜き)、初年度に500台、5年後には1万台以上の販売を目指す。
リンクスは2023年1月17日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、産業用コントローラー「TRITON」を同日より販売すると発表した。価格は標準モデルで6万8000円(税別)、初年度に500台、5年後には1万台以上の販売を目指す。
TRITONは、小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」の組み込みモジュール版となる「Raspberry Pi Compute Module 4」と、ドイツのCODESYSのPLCソフトウェア、OSとしてTRITON向けに特別にチューニングしたLinuxを1つのパッケージにして低価格化と高性能を実現した。
2020年にリリースされた最新モデルであるRaspberry Pi Compute Module 4は「Raspberry Pi 4 Model B」の組み込みモジュール版で、メインプロセッサにArmの「Cortex-A72」を4コア搭載する「BCM2711」を使用している。また、産業用途として長期供給保証がある他、TRITONでは過電圧保護や短絡損傷、静電放電保護機能も備えている。
リンクス 代表取締役の村上慶氏は「Raspberry Piは産業用としても十分な性能を持つようになった。そこに産業用コントローラーに求められるインテリジェンスを全て兼ね備えたCODESYSのソフトウェアを組み合わせることで、今までとは違った位置付けのPLCが出来上がった。われわれはPLCの再発明と呼んでいる」と語る。
ただ、村上氏は大手PLCメーカーと競合するつもりはなく、TRITONで狙う領域を「不採算ゾーン」と「ジレンマゾーン」と名付けている。
不採算ゾーンは工場内でIoT(モノのインターネット)化や見える化などを進める際に、装置の開閉など簡単な機能さえ果たせばよく、大手のPLCを導入するには費用対効果が合わない領域となる。そしてジレンマゾーンは、装置メーカーなどを対象に、これまで操作コントローラーを自社開発してきたが、求められる機能が高まり自社開発に限界を感じる一方で汎用のPLCを導入すると採算が取れない領域だ。村上氏は「(大手PLCメーカーとは)競合するのではなくすみ分けを図る。不採算ゾーンやジレンマゾーンに当てはまっていれば、どんな産業の工場にも用途がある。新しい市場を作り、5年後には売上高10億円規模を目指したい」と意気込む。
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