Thinkerは初の製品となる「近接覚センサー TK-01」を2023年7月31日に発売すると発表した。価格は24万2000円(税込み)で5月23日から受注を開始する。2026年度には、10億円を超える売り上げを目指す。
Thinker(シンカー)は2023年5月16日、初の製品となる「近接覚センサー TK-01」を同年7月31日に発売すると発表した。価格は24万2000円(税込み)で5月23日から受注を開始する。2026年度には、10億円を超える売り上げを目指す。
Thinkerは、大阪大学大学院基礎工学研究科 助教でThinker 取締役の小山佳祐氏が開発した近接覚センサーの販売および同製品を活用したソリューション提案を行っている。Thinkerの近接覚センサーは、赤外線とAI(人工知能)を組み合わせた独自の技術により、対象物の傾きや対象物までの距離を高速で計測し、死角部分を含めた対象物の位置と形を非接触で判断できることが特徴だ。
ロボットのハンド部分に取り付けることで、これまで光の反射の影響によりカメラでの認識が困難だった透明物や鏡面物もつかむことができるようになる。現場環境に応じた臨機応変なピックアップが可能になる他、製品ごとに行われていたロボットへのティーチング作業の負担を大幅に軽減する。
奈良県奈良市の同社開発拠点およびオンラインで行われた説明会でThinker 代表取締役 CEOの藤本弘道氏は「大手企業ならロボットが働きやすいロボットフレンドリーな環境を作ることができるが、規模の小さな企業ではさまざまな製品を扱っていてロボットにとっては働きにくい状況になっていることが多い。この近接覚センサーを使うことでロボットハンドが自ら考える頭脳を持つことになる。ヒューマンフレンドリーな環境でも人が工夫して働くように、ロボットも自ら状況に合わせて対応を変えることができる」と語る。
説明会では、透明な試験管を近接覚センサーを付けたロボット自身が位置を調整しながら的確に把持するデモンストレーションが行われた。Thinker 取締役 最高技術責任者の中野基輝氏は「大まかな試験管の位置は教える必要があるが、厳密な微調整を人間が行わなくていい。カメラで認識するためのラベルを付ける必要もない」と話す。
ロボットの関節に近接覚センサーを内蔵させ、トレーに複数並んだソーセージや、容器の中にばら積みされているねじを1つずつつまみ出す映像も紹介された。「人間であれば簡単にできるが、ロボットは力加減を知らないので傷を付けてしまう可能性がある。それを近接覚センサーで指の部分がどれくらい変形しているかを逐次計測することで、カメラを使わずにものをまさぐる動作ができるようになる。ロボットが器用になり、ティーチングの簡易化につながる」(中野氏)。
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