2025年3月31日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2025」(ドイツ・ハノーバー)が開幕する。会期は4月4日までの5日間で、機械工学、電気産業、ソフトウェア、ITなど4000以上の企業/団体が出展する。
2025年3月31日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2025」(ドイツ・ハノーバー)が開幕する。会期は4月4日までの5日間で、機械工学、電気産業、ソフトウェア、ITなど4000以上の企業/団体が出展する。
今回のハノーバーメッセのテーマは「Industrial Transformation - Energizing a Sustainable Industry(産業変革 - 持続可能な産業の活性化)」だ。会場では、複雑な製造プロセスのデジタル化や、AI(人工知能)を活用した製造プロセスの最適化、工場における水素活用など、現在および未来の産業界でテクノロジーがもたらす幅広い可能性が示される。
産業界は現在、経済の不確実性、地政学的緊張、気候変動などさまざまな課題に直面しているが、ドイツメッセCEO(最高経営責任者)のJochen Kockler(ヨッヘン・コックラー)氏は、「確かに、課題は多岐にわたり、既に幾度となく語られてきた。しかし、技術革新やテクノロジー、そしてグローバルパートナーとの交流におけるドイツと欧州の産業界の強みについては、ほとんど語られていない。われわれの製品は世界的に競争力がある」などと説明。一方で、エネルギーコストの高騰や熟練労働者不足、規制の強化などによってドイツと欧州における製造リソースが逼迫(ひっぱく)していることにも触れつつ、「そのために自動化、AI、国際協力といったソリューションが注目されていて、ハノーバーメッセの役割はまさにそこにある。メッセでは、企業がこれらの課題にうまく対応するための革新と技術的ソリューションが紹介される」と今回のメッセの意義を語っている。
出展企業には、Amazon Web ServicesやMicrosoft、Google、SAP、Siemens、Bosch、Schneider Electricなどの世界的なハイテク企業の他、Beckhoff Automation、Festo、Rittal、Schaeffler、Phoenix Contact、SEW-Eurodriveといった中規模のテクノロジー企業も名を連ねている。また、フラウンホーファーやKIT(カールスルーエ工科大学)などの研究機関や、300以上のベンチャー企業も参加しさまざまな最新技術を展示する。
今回もAIと水素技術が重点的なテーマだ。AI関連では、シーメンスが産業向け生成AI搭載アシスタントである「Industrial Copilots」のさらなる進化を紹介するのをはじめ、多数の企業がAIソリューションがどのように実装されているかなどを示す。コックラー氏は「企業がAIを迅速かつ的確にプロセスに組み込む方法を知ることは極めて重要だ。ハノーバーメッセでは実用的なソリューションや専門家の知識、すぐに使える具体的な応用例などが提供される」と説明している。また、水素関連では、「エネルギーとモビリティの転換において、水素がいかに中心的な役割を果たせるかを紹介する」としていて、電解、貯蔵、輸送から、産業やモビリティへの応用まで、革新的なソリューションが紹介されるという。
なお、開幕前夜である3月30日に開催されたオープニングセレモニーでは、ハノーバーメッセ出展企業の応募者の中から優れた技術を表彰する技術賞「HERMES AWARD」および、優れたスタートアップの技術を表彰する「HERMES Startup AWARD」も発表され、シーメンスのIndustrial CopilotsがHERMES AWARDを受賞した。HERMES Startup AWARDを受賞したのはドイツのスタートアップecoplanetによる、AI搭載のエネルギー管理ソリューションだ。同ソリューションは、企業がリアルタイムでエネルギー消費量を分析し、動的価格設定の利用を最適化。再生可能エネルギー源の統合を最大化することを支援するもので、企業はCO2排出量を大幅に削減しつつ、エネルギーコストを最大20%削減可能になるという。
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