オープニングセレモニーの冒頭では、スクリーン上にAIチャットbotを模した動画が流れ、「ことしの展示会のテーマについて、将来のビジョンを生成して」とプロンプトを入力すると、AIチャットbotがそのイメージを展開していく様子が示されたほか、各登壇者の紹介も同様のAIチャットbot形式で行われるなど、中核的なテーマとなっているAIへのフォーカスを明確に示していた。
このほか人型ロボットや2輪ロボット、4足ロボット、さらに飛行する昆虫型ロボットとともに舞台上に上がったダンサーが踊る演出があったほか、演台も実際の多関節ロボットが支えるなど、世界最大級の産業見本市らしい、趣向を凝らしたものとなっていた。
今回のハノーバーメッセで特に強調されているのが、地政学的な不確実性への対応だ。コックラー氏は「競争力もまた、明確な経済政策戦略にかかっている。ここ数カ月、地政学的な不確実性がしばしば取り沙汰されてきた。米国の新大統領が就任して以来、この不確実性は冷酷なまでに明確になっている。米国は一貫して『アメリカファースト』政策を追求し、一方で中国は自国の産業に対して大規模かつ的を絞った支援を行っている」と説明。「欧州と今回のパートナー国であるカナダのような協力国にとって、今こそ共に歩み寄り、地政学的/経済的な共同戦略を断固として推し進める時だ」などと強調している。
オープニングセレモニーで壇上に立ったドイツのオラフ・ショルツ首相も「われわれはあなたたちの味方だ。カナダはどこかの州ではなく、誇りある独立国家だ」とカナダへの連帯を示しつつ、「地政学的現実は世界経済、貿易とサプライチェーン、投資や技術に多大な影響を及ぼしている。不確実性や関税、分断の増加は、大多数の企業にとって良い兆候ではないが、われわれはこうした展開に対して無防備ではない」と言及した。
さらに、同氏は「『われわれ』とは4億5000万人の市場力を持つEU、そしてEUの27か国および貿易協定を通じて結び付く70超の国/地域、そして何十万もの企業のことであり、そしてそれが世界をより豊かにするからこそ、協力と分業に焦点を当て続けているのだ」と強調。「自国第一主義や関税に対するわれわれの答えは、さらなる自由貿易、さらなる競争力、そしてさらなる技術主権だ」などと述べていた。
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