Microsoftは世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2024」において、同社のMRデバイス「HoloLens 2」および「Dynamics 365 Guides」に生成AI機能である「Microsoft Copilot」を統合した新たなソリューションのデモを公開している。
米国Microsoftは世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2024」(ドイツ・ハノーバー/2024年4月22〜26日)に出展。同社の複合現実(MR)デバイス「HoloLens 2」および「Dynamics 365 Guides」に生成AI(人工知能)機能である「Microsoft Copilot」を統合し、MR技術による製造現場支援に生成AIの音声サポートを搭載する新たなソリューションのデモを公開している。
産業界は現在、運用技術(OT)の生産データ活用方法から現場労働者の仕事の進行方法に至るまで、多くのプロセスや人々に影響を与える大きな変革期を迎えている。Microsoftによれば世界では27億人の熟練技能労働者が製造業を支えている一方、彼らの離職/引退率は上昇の一途をたどっているという。この状況はスキルギャップの拡大につながり、企業は従来の働き方やスキルにとらわれない能力の拡大/成長の実現に迫られている。
Microsoftはこうした産業界の課題解決に向けて、Dynamics 365 Guidesを提供している。Dynamics 365 Guidesは、HoloLensを用い、作業マニュアルなど3D映像で表示したり、現実世界のオブジェクトに3Dコンテンツを重ね合わせてガイドしたりすることで、製造現場などの労働者の円滑な作業を支援するソリューションだ。全国のGR Garageに導入しているトヨタ自動車をはじめ、既に多くの企業などで活用されている。
Microsoftは、このDynamics 365 Guidesに生成AI機能であるCopilotを新たに統合することで機能をさらに強化。「MRとAIの組み合わせは、洞察とコンテキストを提供し、作業員が本当に重要なことに集中できるようにする」などと説明している。
従来、Dynamics 365 Guidesを用いて作業を行う際には、作業手順の表示や「Microsoft Teams」通話でのベテラン作業者によるサポートの必要がある場合があったが、今回のCopilot統合は、それらを不要にする可能性を有しているという。具体的には、Copilotは必要なマニュアルのインプットやベテランの知見をベースに、作業者の要望/質問に対して、その場の状況に応じて答えを生成。テキストおよび音声で作業者に伝える。これによって、作業者は作業手順を表示することなく作業を継続でき、また、ベテラン作業者が遠隔で参加する必要もなくなる。
Microsoftによれば、労働者の63%は、反復的な作業を行うことで、より有意義な業務から遠ざかってしまうことに苦慮しているといい、「生成AIは、熟練した組立作業員、サービス作業員、知識労働者に、製造を継続するために必要な情報を提供することで、こうした現状に対処する」(同社)と説明している。
なお、Copilotを統合したDynamics 365 Guidesはプライベートプレビュー段階で、複数顧客がトライアル中だという。
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