Microsoftは2024年4月17日(米国時間)、統合/分析プラットフォーム「Microsoft Fabric」の製造データソリューションおよび、「Azure AI」上の工場オペレーション向けCopilotテンプレートを発表。今回のブースではこれらのデモの展示も行っていた。
製造業界では、機械やセンサー、企業システムそして人間同士のやりとりなど、膨大な量のデータが生じるが、多くの場合、これらのデータはサイロ化したままで、未開拓のリソースとして放置されている。Microsoftは、「独自のフォーマットや相互運用性の欠如によって生じるデータの断片化は、データのクロスドメインアプリケーション実現を困難にしている。また、技術的要因だけでなく、複雑な物理的要因も存在する。工場の生産性は、操業停止、事故、品質管理の問題などによって中断される可能性がある」などと説明。今回の発表は、これらの課題に対処するソリューションだという。
Fabricの製造データソリューションでは、センサー、製造実行システム(MES)および、企業資源計画(ERP)のような記録システム、産業オートメーションアプリケーションからのファクトリードメインデータなど、さまざまなソースからデータを取得。データはその後、データレイク(分析に必要な多様なデータを保存するための一元的なリポジトリ)の「One Lake」に保存され、統合、リッチ化、モデリングおよび集約される。データは、国際標準「ISA-95」情報モデルに基づきリッチ化され、シームレスな相互運用性を実現するとしている。
Microsoftによれば、例えば製造監督者が、材料のバッチ、機械の稼働率、品質問題の相関関係を特定するための根本原因分析を行う場合、複数のシステムからデータを手作業で集計するためには従来、数週間を費やす上、ITサポートも必要になる場合があるが、Fabricの製造データソリューションであれば、分析のためにコンテキスト化されたデータに迅速にアクセスできることから「数週間ではなく数時間で分析を完了できる」という。
また、データはISA-95情報モデルに基づきリッチ化されることで、AIにも対応可能となる。今回Microsoftが発表したAzure AI上の工場オペレーション向けCopilotテンプレートを用いることで、顧客は迅速にCopilotスタックを使用できるようになる。Microsoftは、「例えば生産監督者がチャットで会話形式で素早くデータを参照し、品質問題を数時間ではなく数分で特定することができる」などと説明している。
ブースではFabricの製造データソリューションおよび、Azure AI上の工場オペレーション向けのCopilotテンプレートに関するデモを実施していた。デモでは2つのロボットアームおよびマグネットレーン、ビジョンシステムおよびオートメーションハードウェアコントローラーやPLC、ネットワークスイッチなどを用いていて、「Azure Arc」によってエッジとクラウド間で通信。国際標準規格OPC UAでクラウドに送信するタグを設定できることから、ロボットセルのデータをリモートで分析可能といい、稼働に関する各情報がダッシュボード画面に反映されていた。また、3Dシミュレーションソフトで構築したロボットセルに、実際のロボットセルで取得しているセンサーIoTデータを反映し、リアルタイムでの確認も可能としていた。
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