牧野フライスが時間確保目的の買収対抗策導入、ニデック「極めて遺憾」製造マネジメントニュース

牧野フライス製作所は、ニデックによるTOBへの対抗措置として、時間確保措置を導入する。

» 2025年03月24日 07時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 牧野フライス製作所は2025年3月19日、ニデックによる同社へのTOB(株式公開買い付け)に対する対抗措置として、時間確保措置を導入すると発表した。

 具体的には、保有株式数に応じて全株主に新株予約権を無償で割り当てる。ただその際、ニデックとその他の一般株主では、行使条件および取得条項が異なる。

 一般の株主には新株予約権1個当たり、牧野フライスの株式を1株付与する。一方で、ニデックに対しては、第2新株予約権を付与し、行使後の株券保有割合が20%を下回る範囲で第2新株予約権の行使が可能になる。

時間確保措置の今後の見通し 時間確保措置の今後の見通し[クリックで拡大]出所:牧野フライス製作所
時間確保措置の具体的な内容 時間確保措置の具体的な内容[クリックで拡大]出所:牧野フライス製作所

 この対抗策は、ニデックがTOBの開始を2025年5月9日以降、または、それより前に法的拘束力のある競合提案が出された場合にはその時点まで延ばすことのみを目的としている。

 そのため、ニデックが2025年5月9日以降にTOBを開始(TOB期間は31営業日以上が前提)するか、もしくは5月9日より前に、ニデックより実質的に有利な条件の競合提案で法的拘束力のあるものを牧野フライスが受領したことを確認するか、いずれかの早い時点で廃止されるとする。

 対抗措置の発動が必要となった場合でも、株主意思確認総会の承認がない限りは発動しないとしている。

 対抗措置導入の理由としては、さまざまな戦略的オプションなどを検討するため、牧野フライスがニデックに再三要請した、TOBの開始日延期や買い付け下限数の引き上げを拒絶したことなどを挙げている。2025年3月10日にも、牧野フライスは複数の第三者から完全子会社化を目的とした初期的な意向表明書を受領したとして、ニデックにTOBの延期などを再度要請した。ニデックは2025年3月19日時点で、明確な回答をしていなかった。

 これに対して、ニデックは2025年3月21日、「これらの要望を明確に拒絶した事実は一切ない」とし、同月10日の牧野フライスの要請についても「真摯に検討を重ねており、その旨を対象者に対しても明確に伝えていた」とコメント。その上で、「対象者が当社との間の協議および交渉に関する事実関係を不当に歪曲して解釈した上で導入されたものであって、極めて遺憾」と述べた。

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