本連載第32回、第45回、第51回、第57回、第90回で北欧諸国のデータ駆動型デジタルヘルス施策を取り上げてきたが、今回は医療に焦点を当てる。
本連載第32回、第45回、第51回、第57回、第90回で北欧諸国のデータ駆動型デジタルヘルス施策を取り上げてきたが、今回は医療に焦点を当てる。
北欧諸国は、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の先進地域として知られている。そこで今注目されているのが、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)だ。
本連載第90回で触れたように、北欧閣僚会議は、2019年8月20日、持続可能な開発目標(SDGs)の目標年に向けた「2030年ビジョン」(関連情報)を採択した。これに先立ち北欧閣僚会議は、2018年1月18日に「2018〜2021年ビジネスイノベーション政策のための北欧協力プログラム」(関連情報)を公表し、このプログラムに基づいて、同会議傘下のノルディックイノベーションが、2018〜2022年に「北欧の持続可能なビジネストランスフォーメーション」(関連情報)プロジェクトを実施している。
本プロジェクトは、北欧の企業、公的機関、産業界、NGOおよびその他のステークホルダーが一体となって、アントレプレナーシップやイノベーション、競争力を通じて、循環型経済への移行に寄与することを目的としており、以下の4つの行動領域を提示している。
このような背景の中、医療領域においては、ノルディックイノベーションが、2019年8月27日、「北欧の持続可能な医療」と題する報告書を公表している(関連情報)。本報告書は、北欧閣僚理事会傘下の「グローバル課題に対する北欧のソリューション」イニシアチブ(関連情報)の中で、ノルディックイノベーションが主導する「北欧の福祉ソリューション」プロジェクト(関連情報)からの成果物である。作成作業に際しては、北欧持続可能な医療センター(NCSH)(関連情報)が、北欧各国でワークショップを開催し、必要な基礎データを収集している。
「北欧の持続可能な医療」は、以下のような構成になっている。
この中で「持続可能な医療の定義」より、図1は、「持続可能な健康」「持続可能な医療」「環境衛生」の定義を比較したものである。
医療機器の視点から見ると、「持続可能な健康」に関わるのが予防目的のデジタルヘルス機器・サービスや診断用医療機器であり、「持続可能な医療」に関わるのが治療用医療機器やリハビリテーション機器ということになろう。
参考までに、欧州全域レベルの法規制としては、医療機器規則(MDR)(2021年5月適用開始)や体外診断用医療機器規則(IVDR)(2022年5月適用開始)の他、一般データ保護規則(GDPR)(2018年5月適用開始)、ネットワーク・情報システムの安全に関する指令2(NIS2指令)(2022年12月発効、2024年10月適用開始予定)、サイバーレジリエンス法(2023年中発効予定)などがある。他方、環境衛生では、これらの法規制に加えて、欧州化学機関(ECHA)が所管する特定有害物質使用制限(RoHS)指令や化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規則(REACH)、さらに欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA)が所管する労働安全衛生関連指令なども関わってくる。
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