ICTや健康医療・介護福祉の先進国が集中するバルト・北欧諸国は、ヘルスデータ交換基盤の標準化・共通基盤化でも、世界をけん引している。日本でも取り組みが始まった、持続可能な開発目標(SDGs)でも先行している。
本連載第30回で、社会課題解決型デジタルヘルスに取組むエストニアを取り上げたが、同国とラトビア、リトアニアを合わせたバルト3国は、北欧諸国(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランド)と、政治・経済・文化面で連携してきた。
2017年4月25日、ノルウェーのオスロで、「北欧・バルト諸国デジタル化閣僚会議」(関連情報)が開催され、図1のような「デジタルノース宣言」が採択された。
デジタルノース宣言では、北欧・バルト諸国地域をデジタル化のフロントランナーにするために、以下のような目標を掲げている。
2017年下半期のEU理事会議長国を務めたエストニア政府は、このデジタルノース宣言を踏まえた上で、「デジタルヘルス社会(DHS)宣言」(関連情報)などの具体的な政策提言を行っている。
また、デジタルヘルス機器/サービスにおける相互運用性に関して、北欧諸国は、コンティニュア・ヘルス・アライアンス/パーソナル・コネクテッド・ヘルス・アライアンスを実質的な統一標準規格として採用してきた。さらに、北欧・バルト諸国間では、図2に示す通り、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、エストニア、リトアニアを結ぶ医療情報ネットワークが構築され、国境を越えたデータ交換が可能な環境が整備されてきた(関連情報、PDFファイル)。
現在、フィンランドとエストニアの間で、患者データを交換するネットワーク構築プロジェクトを計画中だ(関連情報)。2018年2月7日には、フィンランド住民登録センターの「Suomi.fi」とエストニア国家情報システム庁の「X-Road」が、データ交換層(DXL)でのネットワーク接続を開始している(関連情報)。
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