三菱ケミカルは、材料/加工機械の総合展「第14回 高機能素材 WeeK」で、新規開発品として、生分解性バイオポリエステル「SA916N」と無溶剤型ポリエステル系粘接着剤「ニチゴーポリエスター」のホットメルト粘接着剤を紹介した。
三菱ケミカルは、材料/加工機械の総合展「第14回 高機能素材 WeeK」(2023年10月4〜6日、幕張メッセ)内の「第3回 サステナブル マテリアル展(SUSMA)」に出展し、新規開発品として、生分解性バイオポリエステル「SA916N」と無溶剤型ポリエステル系粘接着剤「ニチゴーポリエスター」のホットメルト粘接着剤を紹介した。
SA916Nは、バイオマスと特殊なモノマーを組み合わせたもので、バイオマス度が63%と高く、優れた生分解性と加工性を備えている。この樹脂を用いた50μmフィルムの崩壊性試験を行った結果、60℃のコンポストと土壌に設置して31週間後にほとんど生分解されることを確認した。
三菱ケミカルの担当者は「SA916Nの量産体制は既に構築したため、量産にも対応可能だ。用途としてはレジ袋やコーヒーフィルム、農業用のマルチフィルムを想定している。一例を上げると、農業では雨により肥料や土壌が削られることを防ぐために農地にプラスチックフィルムを設けるケースがあるが、石油由来のプラスチックフィルムでは土中にマイクロプラスチックが混入するケースがあり、環境に優しくない。解決策として、SA916Nのフィルムを使用すれば仮に土中にマイクロプラスチックとして残っても生分解され環境に優しい」と語った。
ニチゴーポリエスターのホットメルト粘接着剤は、有機溶剤が使用されていないため塗工後に乾燥工程が不要で揮発性有機化合物(VOC)の排出量削減にも貢献する。加えて、原料にバイオマスや再生樹脂を活用しており、温室効果ガス(GHG)排出量削減にも役立つ。機能については、低粘度で加工適正に優れ、強粘着力と高耐熱性も有している。
ラインアップは粘稠固体(ねばりがある固体)の粘着タイプとワックス状の接着タイプの2種類となっている。大きな違いはバイオマス/再生原料比率や樹脂のガラス転移温度だという。粘着タイプのバイオマス/再生原料比率は60C/%で、ガラス転移温度はマイナス50℃となっている。接着タイプのバイオマス/再生原料比率は50C/%で、ガラス転移温度はマイナス50℃だ。
三菱ケミカルの担当者は「バイオマスや再生樹脂を材料に活用した溶剤フリーのポリエステル系ホットメルト粘接着剤は市場でも珍しいと考えている。粘着タイプに関しては、ポリプロピレン(PP)、PET、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリカーボネート(PC)などさまざまな被着体に粘着力を発揮することを確認している」と利点を述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.