アルテックがNGR製PET樹脂再生装置の展開に注力している。子会社のアルテック新材料も導入し、再生PET製造事業を立ち上げた。アルテック新材料に、これらの動きの背景や装置の特徴、再生PET製造事業などについて聞いた。
産業機械/機器を中心に展開する商社のアルテックは、プラスチックリサイクル装置の大手メーカーであるNext Generation Recycling machinen(NGR、本社:オーストリア)と総代理店契約を2020年初に締結し、NGR製リサイクル装置の国内販売を同年に開始した。
NGRが開発した装置の中でも、PET樹脂再生装置「P-REACT」は、液相重合「LSP」と呼ばれる独自の方式を採用し、高い不純物除去能力と熱劣化した樹脂物性を再上昇させる能力を有し使用済みPETボトルの再生用途などで欧州を中心に高い注目を集めている。
アルテックではP-REACTの国内販売に注力している。さらに、子会社であるアルテック新材料は国内のモデルプラント(福井県坂井市)にP-REACTを導入し、再生PET製造事業を立ち上げた。
アルテック新材料 代表取締役社長の横田英生氏に、アルテックがP-REACTの展開に注力する背景やP-REACTの特徴、導入実績、アルテック新材料の概要、再生PET製造事業について聞いた。
MONOist アルテックがP-REACTの展開に注力する理由について教えてください。
横田英生氏(以下、横田氏) 大きな理由の1つは、国内の大手飲料メーカーがPETボトルの「水平リサイクル」である「ボトルtoボトル」の取り組みを推進しており、高品質なリサイクルPETを求めているからだ。
清涼飲料水の業界団体である全国清涼飲料連合会(全清飲)は2018年11月に「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」としてPETボトルの100%有効利用を目指すことを発表した。この宣言では清涼飲料業界で2030年までにボトルtoボトルの比率50%も目標として掲げている。この取り組みの後押しもあり、2024年末時点で国内のボトルtoボトル比率は33%だ。国内の各大手飲料メーカーなども目標を定めボトルtoボトルの取り組みを進めている。
国内で廃棄されるPETボトルは年間約60万トン(t)ある。内訳は自治体回収(家庭系)が約30万tで事業系が約30万tとなる。家庭系は家庭から出され容器包装リサイクル法に基づいて自治体に回収されている使用済みPETボトルだ。事業系は、自動販売機やオフィス、スーパー、コンビニなどから排出され、民間企業が回収している使用済みPETボトルとなる。
家庭系は洗浄されたきれいな使用済みPETボトルが多い一方、事業系は汚れていたりタバコの吸い殻が入っていたりと状態が良くないものが多数だ。現在、国内の大手飲料メーカーなどがボトルtoボトルの取り組みを進めている影響もあり、家庭系の使用済みPETボトルベール(圧縮/梱包しブロック状にしたもの)の価格が高騰している。これに連動するように、状態が良くない事業系の使用済みPETボトルベールの需要も高まり価格が上がっている。
しかしながら、家庭系よりは価格が落ち着いているため、状態が良くない事業系の使用済みPETボトルベールを粉砕/加工したフレークからでも、良質なリサイクルPETペレットを生産できるPET樹脂再生装置が求められている。そこで、当社は状態が良くない使用済みPETボトルのフレークからでも良質なリサイクルPETペレットを生産できるP-REACTの展開に注力している。
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