名古屋大学は、男性の低炭水化物摂取と女性の高炭水化物摂取が全死亡リスクやがん死亡リスクを高めること、女性の高脂質摂取が全死亡リスクを下げる可能性があることを発見した。
名古屋大学は2023年7月14日、日本人の炭水化物および脂質の摂取量と死亡リスクの関連について調査し、男性の低炭水化物摂取と女性の高炭水化物摂取が全死亡リスクやがん死亡リスクを高めること、女性の高脂質摂取が全死亡リスクを下げる可能性があることを発見したと発表した。
今回の研究は、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC研究)の参加者およそ8.1万人を約9年間追跡調査し、日本人の炭水化物や脂質の摂取量と死亡リスクの関連を評価した。対象者の1日の炭水化物と脂質の摂取量を食物摂取頻度調査票から推定し、エネルギー比率(%)として算出している。
炭水化物のエネルギー比率50〜55%群を基準(1)とすると、男性の場合は40%未満の低炭水化物摂取群の全死亡リスクは1.59倍、がん死亡率は1.48倍に増加した。
女性は追跡期間を5年に区切って分析したところ、追跡期間5年以上の場合、エネルギー比率65%以上の高炭水化物摂取群の全死亡リスクが1.71倍、60%以上の高炭水化物摂取群でがん死亡リスクが1.40倍となった。
脂質摂取量と死亡リスクの関連では、20〜25%摂取群を基準(1)とした場合、男性の高摂取群でがん死亡リスクが1.79倍、循環器疾患リスクが脂肪摂取量とともに増加した。肉類や乳製品などに含まれる飽和脂肪酸摂取と、魚や植物油に含まれる不飽和脂肪酸摂取に分けて分析したところ、不飽和脂肪酸の少なさが全死亡リスク、がん脂肪リスクを高めていた。
一方、女性は、脂肪摂取量が増加するほど、全死亡リスクとがん死亡リスクは減少傾向を示した。脂肪摂取の質を分析では、飽和脂肪酸の摂取量が増加すると全死亡リスクとがん死亡リスクが低下することが明らかとなった。
これらの成果から、炭水化物と脂質の摂取制限は必ずしも良いとはいえず、将来の死亡リスクには食事バランスの重要性が示唆された。
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