東レは、欧州で射出成形工程により廃棄されるガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルプロセスを確立した。バージン原料で製造した射出グレードに比べて90%以上の機械強度を確保したほか、カーボンフットプリントを約45%削減できる。
東レは2023年6月1日、欧州で射出成形工程により廃棄されるガラス繊維強化ポリフェニレンスルファイド(PPS)樹脂のリサイクルプロセスを確立したと発表した。樹脂製品のマーケティング、販売を手掛けるドイツのToray Resins Europeと、東レの委託加工パートナーである高機能樹脂製品リサイクルコンパウンドメーカーのMKV Kunststoffgranulateが協力して構築した。
同プロセスを使ったリサイクル率50%のガラス繊維強化PPS樹脂は、天然資源をもとにしたバージン原料で製造した射出グレードに比べ、90%以上の機械強度を確保している。カーボンフットプリント(CFP)は約45%削減可能だ。なお、CFPは、欧州合成樹脂の試験機関SKZ-Das Kunststoff-Zentrumが、製品のライフサイクルアセスメントに関する規格「ISO14040」「ISO 14044」とCFPに関する規格「ISO14067」をベースに算出、検証した。
世界的な環境意識の高まりから、ガラス繊維強化PPS樹脂に関しても、急速にリサイクル需要が拡大している。従来のガラス繊維強化PPS樹脂のリサイクルでは、成形加工を繰り返すたびに、ガラス繊維の長さが破損によって短くなる。これにより機械強度が大幅に低下するため、リサイクル比率を高めることが難しかった。
東レは今後、主に欧州の顧客向けにサンプルワークを実施し、同社の環境配慮型PETフィルム「Ecouse」シリーズの「Ecouse TORELINA」として販売する予定だ。
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