東レは、三井化学や熊谷と共同で、フィルム包装材製造工程での揮発性有機化合物のフリー化、従来品比でのCO2排出量80%削減、さらにはリサイクルにも対応する、人と環境にやさしいモノマテリアルフィルム包装材とその製造技術を開発した。
東レは2023年5月30日、三井化学や熊谷と共同で、フィルム包装材製造工程での揮発性有機化合物(VOC)フリー化、従来品比でのCO2排出量80%削減、さらにはリサイクルにも対応する、人と環境にやさしいモノマテリアルフィルム包装材とその製造技術を開発したと発表した。フィルムを単一素材化し、印刷のインキやラミネートの接着剤に石油系溶剤を使用していないという。
開発した包装材の印刷工程では、省電力で水なしオフセット印刷が可能な東レの印刷プレート「IMPRIMA(インプリマ)」を用いている。IMPRIMAは、電子線(EB)硬化型のインキに対応するため、印刷後の熱乾燥が不要だ。
ラミネート工程は三井化学が実証。インキと同様にラミネート工程の接着剤にも石油系溶剤を使用せず、VOCフリー化が可能になった。
さらに、熊谷のパッケージ製造加工技術を組み合わせることで、リサイクルしやすいモノマテリアルフィルム包装材を開発できた。これらの技術により、製造時のCO2排出量を従来より80%削減し、製造工程におけるVOC排出をゼロにできる。
フィルム包装材は、食品や日用品の包装に幅広く用いられており、今後も年率3%以上の市場拡大が見込まれている。しかし、複数の素材を貼り合わせたフィルムはリサイクルが難しく、廃棄時は焼却処分されている。また、石油系溶剤を含むインキや接着剤を用いた従来の工程では、溶剤の加熱乾燥と燃焼処理に多くの電力を消費し、大気汚染や健康被害を引き起こすVOCが発生するため、製造現場の安全性や環境負荷低減が課題となっていた。
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