使用済みタイヤを新品の“材料”とするブリヂストンの精密熱分解技術とは?リサイクルニュース(1/3 ページ)

ブリヂストンは、東京都内で記者向けの勉強会を開き、タイヤの水平リサイクルの現状と取り組みについて発表した。

» 2025年06月23日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 ブリヂストンは2025年6月18日、東京都内で記者向けの勉強会を開き、タイヤの水平リサイクルの現状と取り組みについて発表した。

リトレッドで資源使用量や温室効果ガス排出量を削減

 タイヤのリサイクルでは日本、米国、欧州ともに、「燃料利用(サーマルリサイクル)」や「他製品へのマテリアルリサイクル」が主流だ。日本は2023年時点でタイヤの再利用率が99%(年間78万トン)で、そのうち85%がサーマルリサイクル、14%がマテリアルリサイクル、その他が1%となる。米国は2017年時点でタイヤの再利用率が81%(年間419万トン)で、そのうち43%がサーマルリサイクル、33%がマテリアルリサイクル、16%が埋め立て、その他が5%、輸出が3%だ。欧州はタイヤの再利用率が94%(年間390万トン)で、そのうちサーマルリサイクルが28%、マテリアルリサイクルが49%、リトレッド/リユースが10%、輸出が7%、その他が6%となる。

日米欧におけるタイヤリサイクルの現状 日米欧におけるタイヤリサイクルの現状[クリックで拡大] 出所:ブリヂストン

 こういった状況を踏まえて、ブリヂストンではタイヤのサステナビリティビジネスモデルの構築や水平リサイクルを推進している。

 同社のサステナビリティビジネスモデルは、「創って売る」のプレミアムタイヤ事業(コア事業)や「使う」のソリューション事業(成長事業)、「戻す」のリサイクル事業から成る。

ブリヂストンのサステナビリティビジネスモデルの2024年実績 ブリヂストンのサステナビリティビジネスモデルの2024年実績[クリックで拡大] 出所:ブリヂストン

 プレミアムタイヤ事業では、タイヤの開発、調達、生産、販売を対象に新規資源投入量の低減やCO2排出量の削減を進めている。

ブリヂストン グローバルサステナビリティ戦略統括部門長の稲継明宏氏 ブリヂストン グローバルサステナビリティ戦略統括部門長の稲継明宏氏

 ソリューション事業では、顧客のタイヤ使用段階におけるCO2排出量を減らす目的で、メンテナンス/リペア、使用済みタイヤの回収、摩耗したタイヤのトレッド部分を新しいものに交換して再利用するリトレッドを展開している。

 ブリヂストン グローバルサステナビリティ戦略統括部門長の稲継明宏氏は「ソリューション事業では月額制のソリューションサービスとしてリトレッドを提供している。最適なメンテナンスでタイヤを長く使えるようにし、2回のリトレッドで資源を有効活用した後、リサイクルすることを推奨している。一例を挙げると、3本の新品タイヤを使用した場合と比べて、低燃費タイヤを2回リトレッドして利用したケースでは、資源使用量を50%減らせ、温室効果ガス(CO2換算)排出量を51%削減できる」と話す。

リトレッドによる環境貢献 リトレッドによる環境貢献[クリックで拡大] 出所:ブリヂストン
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