東レがCFRP製の航空機部材を高速かつ高強度で接合する熱溶着技術を開発材料技術

東レは、炭素繊維複合材料「Carbon Fiber Reinforced Plastics(CFRP)」製の航空機部材を、高速かつ高強度で接合する熱溶着技術を開発した。熱溶着された構造体は、現行航空機向けCFRP構造体の一体成形品と同等の接合強度を持つ。

» 2023年02月13日 13時30分 公開
[MONOist]

 東レは2023年2月1日、米国ボーイング(Boeing)との技術開発パートナーシップによる協力を受け、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化樹脂)製の航空機部材を、高速かつ高強度で接合する熱溶着技術を開発したと発表した。

 同技術は、熱硬化性CFRPの表面に熱溶着層を形成させる独自の技術を応用し、瞬間的に加熱して部材表面を接着する接合方法で、熱硬化性CFRPの部材同士だけでなく、熱硬化性と熱可塑性のCFRP部材の組み立てを高速化できる。熱溶着された熱硬化性CFRPは、現行の航空機向けCFRPと同等の力学特性を有し、熱溶着された構造体は現行航空機向けCFRP構造体の一体成形品と同等の接合強度を持つことが確認できた。

キャプション 航空機構造模擬部材(デモンストレーター)の熱溶着組み立て 出所:東レ

 また、CFRP製機体の生産でボトルネックとなっている、接着接合とボルトファスナー締結という煩雑な工程が不要となり、生産時間を短縮可能だ。これにより、アルミ合金機体と同等以上の高レート生産が可能になる。また、ボルトファスナーの重量削減により、機体の軽量化やCO2排出量削減にも貢献する。今後は、今回の技術を活用し、CFRP製機体の高レート生産と機体の軽量化が期待できる他、2030年以降の機体実用化に向けて実証を進めるとともに、CFRPのさらなる適用拡大を推進していく。

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