オール樹脂化で軽自動車より軽い850kgを実現、imPACT発のコンセプトEV東京モーターショー2019

東レ・カーボンマジックは「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)内で、“ちょっと先の未来を紹介する”「FUTURE EXPO」において、オール樹脂化を目指すコンセプトEV「I to P」を紹介した。

» 2019年10月28日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 東レ・カーボンマジックは「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)内で、“ちょっと先の未来を紹介する”「FUTURE EXPO」において、オール樹脂化を目指すコンセプトEV「I to P」を紹介した。

photo 東レ・カーボンマジックが出展したコンセプトEV「I to P」(クリックで拡大)

「imPACT」発の「しなやかなポリマー」をフル活用

 東レ・カーボンマジックが出展した「I to P」は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の1つである「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」(伊藤耕三プログラムマネジャー)の一環として生まれた成果物の1つである。

 同プログラムにより創出した「しなやかなタフポリマー」材料の特質を生かし、自動車への効果的な適用部位を探索し、将来の実用化に向けて適用方法や手法なども含めて提案できるようにコンセプト車両として構築したという。

 特徴は、モーターなど一部を除いてほぼ全面的に樹脂で構築されたEVだということだ。フレームは外板ボディーを兼ねた一体成形モノコック構造を採用。樹脂成形により部品を構造体に固定させることができるため部品数を大幅に低減することに成功し、一般的な金属製モノコックボディーが300kg程度であるのに対し、140kgと50%以上の重量低減を実現した。

 クラッシュボックスには環動ポリマー構造(分子の結合部分がスライド可能な分子構造)を持ったポリアミドとグラスファイバーの複合材による衝撃吸収体を配置している。フロントサスペンションにはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用し、スプリング部分のCFRP化にも成功したという。リアサスペンションについてもコイルスプリングに環動ポリマーを導入したCFRPを採用するなど、サスペンション部品の重量を半減させた。

 インテリアパネルやシート構造部材など内装素材もほとんどがCFRP製となっている。ウィンドウは透明のアクリル樹脂を採用。負荷のかかるタイヤホイールについては、環動ポリマー構造のCFRPを採用し耐衝撃特性を改善した。タイヤのゴム素材についてもImPACTのプロジェクトによる独自素材を用いたという。

photophoto 「I to P」の前部(左)と後部(右)(クリックで拡大)

3人乗りEVで850kgの軽量を実現

 これらの樹脂をフル活用した「I to P」は、大きさが4280×1930×1350mmの3人乗りのEVである。後輪2輪のインホイールモーターで駆動する。モーターの定格出力は15kWで、最大トルクは570Nmであるという。バッテリーはリチウムイオン電池を採用しDC300Vの電力容量を持つ。これらの機能を備えつつ車体重量は軽自動車(1トン程度)よりも軽い850kgを実現した。

 実際の構築された「I to P」はサーキットなどでの走行試験などを実際に行っており「時速120kmでの走行でも問題はなかった」(東レ・カーボンマジック 営業部門長 福井昌弘氏)とする。

photo サーキットでの試験走行の様子(クリックで拡大)出典:東レ・カーボンマジック

 同社ではこの「I to P」の実績や活用手法を生かし、自動車領域やそれ以外の領域で樹脂利用の拡大を提案していく方針。福井氏は「最大の魅力は軽量であるという点だが、現状ではコスト面が大きな課題となっている。利用領域を拡大していくことで低コスト化を進められれば、加速度的に普及が進むと見ている」と語っている。

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