東レが水系塗料や無溶媒塗料に優れた塗布性と密着性を発揮するPETフィルムを開発材料技術

東レは、水系塗料や無溶媒塗料に対して、優れた塗布性と強固な密着性を持つPETフィルムを開発した。2023年度中に国内工場での生産を目指す。

» 2023年01月17日 13時30分 公開
[MONOist]

 東レは2022年12月15日、水系塗料や無溶媒塗料に対して、優れた塗布性と強固な密着性を持つPETフィルムを開発したと発表した。

 今回のPETフィルムは、水との親和性が高い親水成分と、塗料に含まれる樹脂との親和性が高い疎水成分をナノサイズで分散させることで表面に極めて薄い層を形成。これにより、水系塗料に対する良好な塗布性と水が乾燥した後の塗布膜との密着性を両立させた。

 同社は、各塗料メーカーのさまざまな水系塗料を用いて、今回のPETフィルムで、優れた塗布性と密着性を発現できることを実証している。また、無溶媒塗料に対する塗布性と密着性に優れることも確かめた。

 新たに開発したPETフィルムの用途としては、離型フィルムや粘着フィルム、印刷用フィルム、包装用フィルム、車載用フィルムなどを想定。2023年度中に国内工場での生産を目指すとしている。

 有機溶媒を使う一般的なPETフィルムの加工には、印刷インキ、離型剤、粘着剤の塗布や乾燥、硬化に電力がかかる。また、大気に放出された有機溶剤の焼却時や溶剤廃液と廃棄物を処理する際にもCO2が排出される。こういった環境負荷を低減するために、有機溶媒を水に変更した水系塗料や溶媒を使用せずにモノマーで希釈する無溶媒塗料など、溶媒由来のCO2排出をゼロ化できるVOC(揮発性有機化合物)フリー塗料の開発が進められている。

 一方、VOCフリー塗料は、PETフィルムに塗布すると、塗布はじきなどの外観不良が生じていた他、乾燥後の塗布膜とPETフィルムとの密着性が低く、浮きやはがれが発生して耐久性が低下するという課題もあった。

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