理化学研究所は、豊富な天然資源の木材成分セルロースの誘導体を使用し、塩水中などの自然環境で速やかに分解する、しなやかで丈夫なプラスチックを開発した。塩化コリンの添加量で力学特性を制御できる。
理化学研究所は2025年12月3日、豊富な天然資源の木材成分セルロースの誘導体を使用し、塩水中などの自然環境で速やかに分解する、しなやかで丈夫なプラスチックを開発したと発表した。
研究チームは、室温かつ水中で、木材パルプ由来のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)と硫酸グアニジニウムモノマー(PEIGu)を混ぜると、磁石のように引き合って架橋高分子ネットワークを形成することを発見。この架橋成分を乾燥させると、無色透明で硬いガラス状のプラスチック(CMCSPフィルム)が得られる。
このプラスチックはガラスに特徴的なもろさを有するが、食品添加物として米国食品医薬品局(FDA)に承認されている塩化コリン(ChCl)が可塑剤として働くことを見出した。ChClの添加量で力学特性を制御でき、添加量が少ないと硬いガラス状でもろく、多いとしなやかなのに丈夫なプラスチックが得られた。厚さ0.07mm、幅1cmの薄膜を大人の力で引っ張っても、簡単には破れない。
また、塩水中に浸しておくと、架橋がほどけて自然界で代謝される原料分子に戻るという特性を持つ。そのため、石油由来のプラスチックや従来の生分解性プラスチックのように、風化に伴う5mm以下のマイクロプラスチックが生じない。さらに塩水中で解離したモノマーは、エタノールを用いて分離、回収し、同等の品質を持つプラスチックを何度でも再生できる。
今回の成果は、従来のプラスチックの代替材料として、マイクロプラスチックによる環境汚染抑制への貢献も期待される。
電気伝導性を持つ金属でマルチフェロイックな性質を電気的に実証
室温で光と磁石が強く結合した状態を作り出すことに成功
強相関電子材料は室温で電流方向に依存し抵抗変化 省エネ電子デバイス開発に貢献
超伝導量子コンピュータ実用化に向け連携センター開設、理化学研究所と富士通
あらゆる新型コロナ変異株を感染阻止できる抗体を開発Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
素材/化学の記事ランキング
コーナーリンク