低迷が続いていた日産自動車も回復の兆しを見せている。2月のグローバル生産は、前年同月比9.2%増の30万734台と5カ月ぶりにプラスへ転じた。8社の順位でもトヨタ、ホンダに次ぐ3位に戻した。このうち国内生産は、同17.4%増の5万7764台と10カ月連続で前年実績を上回った。「エクストレイル/ローグ」の好調に加えて、前年が半導体不足で低迷したことが理由。コロナ禍前の2020年2月との比較でも11.8%増と伸びており、回復が進んでいることが分かる。
海外生産も、半導体不足の影響はあるものの、前年同月比7.4%増の24万2970台と5カ月ぶりに前年実績を上回った。北米は新型車効果などもあり好調で、米国が同12.9%増と3カ月連続のプラス、メキシコも同13.1%増と3カ月連続で増加した。中国も、春節の影響による生産日数の増加などもあり、同0.9%増とわずかながらプラスを確保。中国で生産する5社で唯一の前年超えとなった。なお、この台数は小型商用車(LCV)を手掛ける東風汽車(DFAC)の株式売却に合わせ、LCVを除いて前年比を比較したもの。日産の中国事業として前年実績にLCVを含むと同13.7%減となる。英国も「キャシュカイ」の好調により同43.8%増と伸びを見せた。
1月の高い伸びから一転したのがスズキだ。2月のグローバル生産は、前年同月比5.2%減の26万366台と2カ月ぶりに減少した。8社のグローバル生産では最大の減少幅で、ホンダ、日産に次ぐ4位となった。このうち国内生産は、同7.3%減の7万2685台と10カ月ぶりにマイナスへ転じた。半導体や部品不足の影響が再び広がっており、湖西第1工場と相良工場の稼働を最大3日間停止。スズキが部品供給を理由に稼働停止を実施したのは8カ月ぶりだ。
部品供給の影響は海外にも及んでいる。海外生産は前年同月比4.4%減の18万7681台と、2カ月ぶりのマイナスだった。主要拠点のインドが同5.8%減と2カ月ぶりに減少したのが響いた。ただ、インド以外の海外生産は同4.4%増と2カ月連続でプラスを確保した。
ダイハツ工業の2月のグローバル生産台数は、前年同月比2.4%増の15万2905台と9カ月連続で増加し、2月の世界生産として過去最高を更新した。けん引したのが海外生産で、同18.5%増の7万2642台と19カ月連続でプラスを確保。海外生産も2月として過去最高だった。国別ではマレーシアが同26.9%増、インドネシアも同14.1%増とともに好調だった。増産により受注残の解消が進んだことで、海外販売も同37.4%増と2月として過去最高を記録した。
一方、国内生産は振るわず、前年同月比8.9%減の8万263台と2カ月ぶりのマイナスで、8社の国内生産では最も大きな減少幅となった。トヨタ向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ルーミー」や「ライズ」など、前年の新型車効果が一巡したことで登録車が同29.3%減と大きく減少。軽自動車はマイナーチェンジで人気を回復した「タント」などの効果で同3.1%増とプラスを確保したものの、登録車の落ち込みをカバーするには至らなかった。
マツダの2月のグローバル生産台数は、前年同月比20.3%増の10万4200台と4カ月ぶりに前年実績を上回った。主力の国内生産が同19.8%増の7万2473台と伸長し、4カ月ぶりのプラス。前年が北米の寒波の影響で部品供給が滞った反動増が表れた。主力車種の「CX-5」は前年がマイナーチェンジの効果があったため同6.2%減と伸び悩んだが、「マツダ3」は同29.3%増、「CX-30」に至っては同87.4%増と大幅プラスとなった。
海外生産も好調で、前年同月比21.4%増の3万1727台と2カ月ぶりに前年実績を上回った。タイは前年より稼働停止日を減らしたことに加えて、日本市場向け「CX-3」の生産を開始したため、同16.1%増と2桁%増を確保。メキシコも、前年に稼働停止を実施した反動や、半導体関連部品の代替えが進んだことで同36.1%増と大きく伸長した。さらに前年1月から操業を始めた米国工場は同10倍超となり、北米トータルでは同64.4%増と9カ月連続で増加した。唯一、中国が販売低迷で需要に応じた生産調整を行った結果、同41.2%減と低迷。12カ月連続のマイナスだった。
三菱自動車の2月のグローバル生産台数は、前年同月比0.1%減の9万269台とわずかに前年実績を下回り、5カ月連続の減少となった。海外生産が同3.5%減の4万6939台と伸び悩み、5カ月連続のマイナス。主要地域の東南アジアは、最大拠点を構えるタイは前年並みを維持したが、インドネシアは同2.6%減だった。中国は在庫調整を実施したため同66.4%減の大幅マイナスで、日系5社で最大の落ち込みだった。
国内生産は、前年同月比4.0%増の4万3330台と3カ月連続で増加した。登録車は低迷したものの、前年にエアバッグ不具合で生産を停止していた主力モデルの「eKスペース」および日産向けにOEM供給する「ルークス」が伸長した他、軽自動車EVの「eKクロスEV」および日産向けOEM「サクラ」の純増が貢献した。
1月から一転して、最も大きな回復を見せたのがSUBARU(スバル)だ。2月のグローバル生産台数は、前年同月比28.9%増の6万1396台と2カ月ぶりに増加した。依然として半導体不足の影響はあるものの、前年が半導体不足に加えて、オミクロン株の感染で仕入れ先からの部品調達に支障をきたして稼働停止を実施した反動が表れた。
このうち主要拠点の国内生産は、前年同月比22.4%増の3万2704台と2カ月ぶりに増加。輸出も同9.4%増と2カ月ぶりのプラスだった。唯一の海外拠点である米国生産はさらに伸長し、同37.2%増の2万8692台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。
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