ホンダは2022年4月12日、2030年に向けたEV(電気自動車)の戦略について発表した。
ホンダは2022年4月12日、2030年に向けたEV(電気自動車)の戦略について発表した。
2021〜2030年度で投じる研究開発費は8兆円(このうちEVとソフトウェア向けに3.5兆円、新たな成長の仕込みに1兆円)、投資はEVとソフトウェア向けに1.5兆円を見込む。EVとソフトウェアの領域には10年間で合計5兆円を投入する構えだ。バッテリーなど電動化関連や、ソフトウェア、コネクテッドの分野は人材採用も強化する。
有望な先端技術やビジネスモデルを持つスタートアップ企業には年間100億円規模で積極的に出資し、技術や事業の幅を広げる。また、グリーンボンドで得た資金をEVなどゼロエミッション車の開発や製造に充てる。2022年3月には総額27.5億米ドル(約3444億円)のグリーンボンドを発行した。
2030年までに軽商用車からフラグシップモデルまでEV30車種をグローバルで展開し、年間200万台以上の生産を計画する。2020年代後半までは地域ごとの市場特性に合わせて商品を投入するが、それ以降はEVの普及期と位置付けてグローバルモデルとして展開する。そのため2026年から、ホンダ独自開発のEV車台、E/E(電気電子)アーキテクチャ、ソフトウェアプラットフォームで構成される「Honda e:アーキテクチャ」が投入される。
ソフトウェアによる付加価値を提供しながら、ハードウェア売り切り型の販売からの脱却を図る。また、電動モビリティを含むさまざまなホンダ製品を“クロスドメイン”でつなげるコネクテッドプラットフォームを構築する。二輪車と四輪車の垣根を超えた車車間通信や、車両のバッテリーと定置用蓄電池を協調させて制御して充放電するなど、さまざまなつながるサービスを検討する。
電動化とソフトウェアやコネクテッドを連携させるため、2022年4月からは「事業開発本部」を置いた。製品別ではなく電動事業や複合型ソリューションという領域で担当する「事業開発統括部」の他、ソフトウェア領域を担う「ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部」、電動コア技術を開発する「エネルギーシステムデザイン開発統括部」が事業開発本部に属する。機動力を高め、製品を超えたクロスドメインでのシナジー創出を強化していく。
ホンダは2035年までに日米中の3市場で、四輪車販売に占めるゼロエミッション車(EVとFCV=燃料電池車)の比率を80%に引き上げ、2040年には100%とする。2030年の生産規模は500万台程度と見込んでおり、EVが年間200万台以上の生産となればEV比率は4割以上となる。ハイブリッド車(HEV)も開発を継続し、充電インフラが不足する地域や、走行距離が長い地域にはHEVを展開する考えだ。
2030年までに年間200万台以上のEVを生産するため、グローバルで160GWhのバッテリーが必要になる。当面の間、液系リチウムイオン電池は外部とのパートナーシップによって地域ごとに調達する。
北米はGM(General Motors)から供給を受ける他、GM以外の企業とバッテリー生産の合弁会社の設立を検討している。中国でのパートナーはCATLだ。日本では2024年前半に投入する軽商用EV向けのバッテリーをエンビジョンAESCから調達する。
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