2020年代後半には、ホンダが独自開発した全固体電池の採用を目指す。既にラボレベルでの検証は完了したという。2024年春に栃木県さくら市の研究拠点に実証ラインを立ち上げる予定で、その投資額は430億円となる。実証ラインを通じて量産レベルでの性能やコスト、安全性を確保するとともに、生産プロセスも含めた設計に取り組み、生産技術の手の内化を目指す。
2020年代後半にかけての地域別のEV投入計画は既に発表されている通り、北米では2024年に中大型クラスの2車種を、中国では2027年までに10車種を投入する。北米ではGMとの共同開発で、中国では現地での独自開発で製品をそろえる。また、米国ではホンダ独自の充電インフラの整備も検討している。
日本で2024年に投入する軽自動車タイプのEVは商用車とする。稼働率が高く、営業所からの走行ルートが事前に決まっており走行距離の制約を受けにくい配送業などが普及させやすいと見込む。軽乗用車タイプやSUVタイプのEVは、充電インフラで使用する電力での再生可能エネルギーの普及状況を見ながら投入するという。
軽商用EVは車両価格を200万円以下に抑えることを目指す。既存の軽自動車「Nシリーズ」のノウハウを生かした量産効果の他、あらゆる領域でコストダウンを図る考えだ。GMと共同開発して2027年以降に発売するEVも、ホンダとGMの双方の拠点で生産できるようにすることで量産効果を高め、3万ドル(約367万円)以下を目指す。
EVの生産は、中国では武漢の他に広州にもEV専用工場を建設する。北米にもEV専用の生産ラインを設ける。
EVへの投資は、既存事業の盤石化によって原資を生み出す。そのためのモデルの派生数の削減や生産コストの抑制が進行中だ。グローバルモデルの派生数は2018年比で半分以下に削減しており、2025年までに2018年比で3分の1まで削減する。四輪車の生産コストは、英国やトルコ、狭山での完成車生産終了により生産能力の適正化が進み、当初の目標である2018年比10%削減にめどをつけた。
2020年代半ばの投入を目指し、電動スポーツモデルの開発も進めている。ホンダのスポーツマインドや個性を体現したスペシャリティモデルとフラグシップモデルの2車種を投入するという。日本も含め、グローバルに展開する。
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