ヤマハ発動機の二輪車を構成する主要原材料は鉄鋼、非鉄金属、非金属に分けられる。外装部品は、非金属である樹脂が多く使用されており、PPはそのうちの5割強を占める。
使用されるPPバージン材は、石油化学メーカーでの原油精製から始まり、コンパウンドメーカーでペレット製造された後、最終的に成形メーカーで部品化される。
一方、PPリサイクル材は回収した材料を用いることで、原油精製とナフサ蒸留のプロセスがないので、バージン材に比べ製造時のCO2排出量を抑えられる。そのため、同社では、以前からリサイクルPP材を開発し、二輪車製品で使用を推進している。製造時におけるCO2削減を目的に、ASEAN市場向けの製品で使用する外装部品を対象にリサイクルPP材の採用率拡大も検討中だ。
しかし、従来のリサイクルPP材の原料には、ユーザーが利用し廃棄した市中回収材を用いていたため、品質にバラツキがあった。
ヤマハ発動機 生産技術本部 材料技術部の松本泰彦氏は、「これまで当社で採用したリサイクルPP材の原料は、市中から回収したバッテリーケースなど、消費者の使用を経て供給された材料で、いわゆるポストコンシューマー材だった。この材料はPPバージン材と比べ、強度が高くなく高意匠部位にも使えなかったため、低強度でも利用可能なカバー類の材料に活用されている」と話す。
そこで、同社は、今後のリサイクル材採用率拡大を目的に、強度や意匠性に関連する物性を確保しつつ、年々高まる環境負荷物資混入のリスクを排除した環境対応型リサイクルPP材の開発に踏み切った。
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