ヤマハ発動機はスクーターやバイクの主要外装部品への使用が可能な高品質の「環境対応型リサイクルポリプロピレン材」を開発した。
ヤマハ発動機は2023年4月11日、オンラインで会見を開き、スクーターやバイクの主要外装部品への使用が可能な高品質の「環境対応型リサイクルポリプロピレン(PP)材」の開発に成功したと発表した。ASEAN(アセアン)市場向けスクーターの2023年型主要モデル「GEAR(LNP)125」などから採用を開始する。
環境対応型リサイクルPP材は、石油化学メーカーの重合工程の樹脂合成切り替え時に発生する中間材であるパージ材や成形メーカーで生じる端材などを原料に活用し、外部企業に委託して生産している。いずれの原料も従来は廃棄されていたプレコンシューマー材(消費者の使用を経ずにマテリアルリサイクルとして供給された材料)だという。
プレコンシューマー材は、製造履歴をトレースでき、かつ環境負荷物質が混入する懸念がないというメリットを持つ。
環境対応型リサイクルPP材は、従来のリサイクル材と比べ、強度や外観品質レベルを向上できるという利点がある。このため、製品の外観デザインに関わる外装部品などにも利用できる。
こういった利点を生かし、第1弾として同素材の採用を開始するスクーターのGEAR(ギア)125やバイク「WR155R」といった6種類のASEAN市場向けモビリティでは、主にフロントマスクをはじめとする外装部品に適用する。順次、適用する部品やモデルも増やす見通しだ。
今後は、バイクやスクーターなどの二輪車では、これまでPPのバージン材を利用してきた高強度モデルと高意匠部位採用モデルへの環境対応型リサイクルPP材の横展開を目指す。併せて、二輪車以外の製品領域にも段階的に適用する計画も策定している。
また、リサイクルされた樹脂材の採用を拡大するだけでなく、植物由来の材料と製造時のCO2排出量が少ない材料の導入を増やし、調達する樹脂材を100%サステナブル材へ切り替えることも目指す。これは、同社が策定した「ヤマハ発動機グループ環境計画 2050」で目標としている「2050年までに事業活動を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラル実現」の一環として行われている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.