ドメインセッションの終盤では、ダッソー・システムズのハイエンド3D CAD「CATIA」のR&D担当バイスプレジデントであるRomain Perron(ロマン・ペロン)氏が登壇。SOLIDWORKSブランドのロゴ入りワイシャツを着て登場したペロン氏が、クマー氏に対してCATIAのロゴの入ったトレーナーをプレゼントする一幕があり、3DEXPERIENCE Worksポートフォリオが、SOLIDWORKSとダッソー・システムズ(CATIA)の壁を取り払う存在であることを象徴する演出のように感じだ。
ペロン氏は、3DEXPERIENCE Worksポートフォリオ製品に含まれるCATIAをはじめとするダッソー・システムズのテクノロジーを活用したいくつかのロールが提供する機能を紹介した。例えば、SIMULIA Abaqusソルバーを用いた解析結果を基に比較検討を行い形状最適化を行う手法や、アディティブマニュファクチャリング製造に向けたラティス構造化やジェネレーティブデザインの適用、バイオミミクリー(生物模倣)技術を用いた構造検討手法など、SOLIDWORKSユーザーが3DEXPERIENCE Worksポートフォリオ製品を活用することで実現できる新たな設計の在り方を示した。
以上、設計領域を対象にしたドメインセッションだけでも盛りだくさんの内容であった。終始一貫したメッセージとしては、SOLIDWORKSを活用したより高度な設計(あるいは解析、製造、データ管理、マーケティング)を実現していくためには、クラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームにつなげ、3DEXPERIENCE Worksポートフォリオ製品を利用すべきという点だ。
Day1のゼネラルセッションにおいて、2023年7月から新規のデスクトップ版SOLIDWORKSユーザー(要保守契約)に対して3DEXPERIENCEプラットフォームに接続/連携するためのロールを標準提供するアナウンスがあったが、これはまさにこうしたメッセージを象徴する施策といえるだろう。
SOLIDWORKSユーザーの1人として、筆者は3DEXPERIENCE Worksポートフォリオ戦略そのものについて前向きに捉えているつもりだが、設計領域だけでも多くのロール(アプリ)があるため、まだまだ理解すべきことがたくさんあるように思う。同時に、費用対効果や既存システム、設計資産との連携性なども無視できないため、実務での活用はもう少し先かつ段階的なものになるように感じている。ただその一方で、欧米のスタートアップを中心とした先進的な活用事例などを見聞きすると、このまま指をくわえているだけではダメだという認識もある。米国に次ぐSOLIDWORKSユーザー数を誇るといわれる日本において、3DEXPERIENCE Worksポートフォリオの波がいつ本格的に訪れるのか。しっかりと注視しておきたい。
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