SOLIDWORKSの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2023」の展示会場では、ダッソー・システムズやパートナー企業によるソリューション紹介の他、学生やメイカーによる作品などが多数展示されていた。筆者イチオシの展示内容を紹介する。
3D設計/製造ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2023」(会期:米国時間2023年2月12〜15日/主催:ダッソー・システムズ)が米国テネシー州ナッシュビルで開催された。
同イベントでは「The 3DEXPERIENCE Playground」と呼ばれる展示会場が設けられており、ダッソー・システムズやそのパートナー企業による製品/ソリューションの他、工作機械、3Dプリンタ、ロボットなどの製造設備、学生のデザインチームやメイカーによる作品などが所狭しと展示されていた。本稿では、筆者が注目した展示内容について紹介する。
製品(ワーク)に応じたサイズ変更や、サイズ変更に伴う機器変更、物流機器(マテリアルハンドリング)に見られるようなレイアウト変更など、設計の場面では「流用設計」や「モジュラーデザイン」といわれるように、ある一定のルールの下で設計変更が行われることは珍しくない。
筆者は産業機械の設計開発に携わっているが、筐体や安全カバーといわれるものは、基本的な設計思想を持ち、大きさに応じた設計変更を行うことが多い。その一方で、架台や安全カバーは機能的なユニットに比べて、付加価値が高いものとはいえない。詳細設計の工程では、装置を構成する機能的なユニットの設計が完了した後に、架台や安全カバーなどの設計が行われることが多い。だが、装置の組み立てを行う際には、ユニットを載せるための架台が最初に必要となる。
SOLIDWORKSでは設計ルールをパラメーター化し、これを関係式により駆動させ、コンフィギュレーション管理を行うこともある。コンフィギュレーション機能を活用して自動設計を行うことは、設計の合理化を成し遂げる上で必要だと考える。そのためにも、設計の考え方を標準化して、それをルール化することが重要であり、設計ルールをデジタルに落とし込むことで、初めて自動設計の恩恵を享受できると筆者は確信している。
DriveWorksの展示ブースでは、ナレッジベースエンジニアリングツール「DriveWorks」による自動設計を訴求していた。DriveWorksは、定義した設計ルールに基づき自動設計を行うツールである。「Excel」などを利用した自動設計ツールに対して、DriveWorksはGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)が充実しており、視覚的にも操作が分かりやすい。また、設計ルールの入力方法もブラックボックス化されておらず、展示会場でのデモンストレーションを見た限り、「Visual Basic」のような簡単なプログラミングの構文を用いて、比較的容易にユーザー自身が設計ルールを設定できそうだった。
さらに、DriveWorksは、設計者が設計業務を行うためのツールとして利用するだけでなく、コストシミュレーションを実施したり、営業部門が顧客とコミュニケーションする際に3Dモデルを可視化して見せたりすることも可能だ。
ユーザーは、定型的かつ反復的な設計を行っている製品の構造を明確にし、設計基準やどのようなパラメーターでサイズや構成を駆動させるのかを定義することになる。これらルールの設定さえ完了すれば、DriveWorksを用いた自動設計を始められる。
DriveWorksでできること(DriveWorks Pro)
展示ブースで確認したところ、ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCEプラットフォーム」との連携もできるとのことだった。残念ながらDriveWorksは英語版のみで日本語対応はされていないが、今後日本での展開が望まれる。なお、DriveWorksはSOLIDWORKSのGoldパートナー製品であり、筆者がリーダーとして所属するSWUGN(SOLIDWORKS USERGROUP NETWORK)では、同社の支援に対し「Partner of the Year Award 2021」の表彰を行うなどの関係がある。今後もDriveWorksの情報収集を継続していきたい。
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