Christian Bagg(クリスチャン・バッグ)氏が設立したBOWHEADでは、「BOWHEAD ROGUE FS/E」という身体が不自由な人向けのオフロードバイクを設計開発し、販売している。
BOWHEAD ROGUE FS/Eは、前輪が1つ後輪が2つのフルサスペンションの電動オフロードバイクで、Christian Bagg氏は3DEXPERIENCE World 2023の開催中に行われた筆者が所属する「SWUGN Summit」においてもゲストスピーカーとして講演を行っていた。
The 3DEXPERIENCE Playground内のMakersパビリオンでは、BOWHEAD ROGUE FS/Eの実物を展示。設計にSOLIDWORKSを用いており、試作などでは3Dプリンタを活用するなどデジタルファブリケーション技術を効果的に活用しているという。
日本で「身体が不自由な人向けのオフロードバイク」と聞くと驚いてしまうが、このような挑戦と製品化によって、アウトドアを楽しんでみたいと考えている障害のある人の願いをかなえる実行力は素晴らしいの一言に尽きる。法規制などの壁もあり、日本で同様の製品を展開することは難しいかもしれないが、こうした熱量のあるモノづくり、製品化の事例を日本でもぜひ見てみたいものだ。
Magic Wheelchairは、寄付金を募り、子供向けの車いすを提供する非営利団体である。ダッソー・システムズも同団体に寄付を行っており、筆者もこの活動に賛同し、わずかながら寄付を行っている。3年前の「3DEXPERIENCE World 2020」に続き、今回もゼネラルセッションへの登壇を果たしていた。
車いすを必要とする障害のある子供たちに対し、Magic Wheelchairは単なるデコレーションというより、改造ともいえるレベルで車いすをフルカスタマイズして、提供している。Magic Wheelchairという名称の通り、まるで魔法のように、車いすを魅力あふれる乗り物に変えて、子供たちに忘れられない瞬間やワクワクとした体験をもたらすのが彼らのミッションだ。
筆者はこの活動に感銘を受け、一人でも多くの子供たちを笑顔にできないかと考え、日本版Magic Wheelchairを国内展開できないかと模索している。先ほどのBOWHEADと同じく、法規制の問題などもあるため簡単なことではないが、実現に向けてぜひチャレンジしていきたい。
その他にも、The 3DEXPERIENCE Playgroundでは、工作機械やCAM、卓上型切削加工機、3Dプリンタといった製造ソリューション、協働ロボットや3Dスキャナー、公差解析システムなど、多岐にわたる展示を見ることができた。
人であふれ賑わう展示会場を眺め、withコロナというよりも、コロナ禍前に戻ったかのような錯覚にさえ陥った。次回、ダラスで開催される「3DEXPERIENCE World 2024」では錯覚ではなく、感染リスクにおびえることのない、以前のような状態での開催になっていることを願うばかりだ。
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