「3DEXPERIENCE World 2023」の展示会場では、EXOSAPIEN TECHNOLOGIESが身体拡張を実現する巨大メカスーツ「PROSTHESIS」の実物を展示し、来場者の注目を集めた。
3D設計/製造ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2023」(会期:米国時間2023年2月12〜15日/主催:ダッソー・システムズ)が米国テネシー州ナッシュビルで開催された。事業戦略やビジョン、最新のアップデート情報などが聞けるゼネラルセッション、有識者を招いて行われるゲスト講演、その他多数のテクニカルセッションの他に、ユーザー事例などを多数展示したプレイグランドも見どころになっている。
プレイグランドでは、EXOSAPIEN TECHNOLOGIESが、身体拡張を実現する巨大メカスーツ「PROSTHESIS」(日本語訳では「補装具」)の実物を展示し、来場者の注目を集めていた。SOLIDWORKSを用いて設計を行っているという。
PROSTHESISのサイズは高さ4m×幅5.5m×奥行き5.1mで、重量が4t(トン)。小型電気自動車と同等のリチウムイオンバッテリーを搭載し、搭乗(装着)した人間の体の動きをダイレクトに伝えてコントロールする。本体を支える4本の脚で歩行し、前面と背面にはそれぞれマンモスの牙(きば)のような2本のアームが備わっており、障害物をなぎ倒したり、転倒時にアームを立てて起き上がったりすることが可能だという。低パワーモードで約60分間、高出力モードで約20分間動かすことができる。
「PROSTHESISは人間の力を約50倍に増幅できる電気機械式スーツだ。特に何かに似せて作ったわけではなく、工学の原理に基づきシンプルさと強度を考慮して設計した結果だ。プロアスリートが装着して障害物コースなどを競う、『ニンジャ・ウォーリアー』(米国版SASUKE)と『モンスタートラック』を融合させたような国際的な競技に発展させていくことを狙っている。また、火災や災害現場での支援活動、農業、鉱業、建設業といった現場などでの活用も見込んでいる」(担当者)。現在は、今回のようなイベント出展やショーの演出などに用いられたり、実機を用いたパイロット訓練サービスなどを提供したりしている。担当者によると「米国ロサンゼルスの映画関係者からオファーがあり、近々SF映画の撮影に用いられる計画がある」という。
現在、同社は次世代モデルの開発も進めており、本体サイズを現行モデルの約3分の2に抑えつつ、拡張される力を2〜3倍に強化する予定で、より人間の形に近い(ゴリラのような)フォルムになるとしている。さらに、巨大メカスーツの開発で培った技術を基に、手足の上下の動きに連動して4つのタイヤを独立制御し、全身を使って走行できる4輪のオフロードマシンの開発も一般販売を視野に進めているとのことだ。
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