スケルトニクス 白久レイエス樹氏に聞く、パワードスーツの現在と未来ロボットキーマンを訪ねて(1/6 ページ)

3mの巨大な身体を手に入れる、そんな夢を現実のものとした「スケルトニクス」。このスケルトニクスで実現したことは何だったのか? そして「エグゾネクス」プロジェクトの終了を発表した今、彼らが次に目指すのはどこなのだろうか。

» 2016年03月11日 07時00分 公開
[大内孝子MONOist]

 アニメの巨大ロボットさながら、身体の1.5倍ある筐体を装着し、その手足を動かす。2011年、その様子が動画で公開されると世界中で話題になったスケルトニクス。

YouTubeでの紹介映像

 開発当時沖縄高専の学生だった彼らは、その後、スケルトニクス社として起業し、ライブパフォーマンス分野に特化した形で、スケルトニクスを使ったビジネスを展開する。メディアでの露出はもちろん、NHK紅白歌合戦の舞台演出、長崎ハウステンボスのパレードなどで実機が使われている。アラブ首長国連邦ドバイでの販売も成功している

 今回、スケルトニクス 代表取締役の白久レイエス樹氏に、「スケルトニクス」、そして「エグゾネクス」プロジェクトについてお聞きした。

スケルトニクス5号機とスケルトニクス 代表取締役の白久レイエス樹氏 スケルトニクス5号機とスケルトニクス 代表取締役の白久レイエス樹氏

リンク機構で人体を拡張する

 気の合う仲間と「ちょっと時間があるんで何か作ってみる?」という感じでスケルトニクスの開発は始まった。それは2010年のこと。当時、高専ロボコンの部活は既に引退していたが、ものをつくることが好きな仲間と、お互い時間が許す限りやってみようというチャレンジだった。

 スケルトニクスはリンク機構を使って人体の動きを拡張する「搭乗型外骨格」だ。そのアイデアの源泉は、高専ロボコン時代によく使っていたリンク機構だ。これを人体に適用すれば、その動きを拡大できるのではないかと考えたのだ。

白久氏 人体を拡張したい、そういう発想自体は昔から研究されています。ただ、当時は学生ですし、何か研究室のテーマとして取り組んだというわけではないので、ロボティクスの流れ、流行とかはあまり考えず、ヒマだから作ったんです。ですが、フタを開けてみたら、たまたま他の人が作っていなかった(笑)。

 それなので出来上がったときに「思い出づくりとして、ニコニコ技術部に投稿しよう」と。当時はニコニコ動画ができてまだ数年というときだったので、ユーザー数もそんなに多くなくて、今よりかなり尖っていていたと思います。

 その中で、僕らが興味を持っていたのが「ニコニコ技術部」でした。普通の人が趣味で作ったものを公開して、スゴければ「才能の無駄使い」「技術の無駄使い」って褒め言葉が付くんですよ。僕らも見ていて面白かったのでそのコミュニティーに投稿して、みんなを驚かしてやろうというくらいのノリでした。

 そんな軽い気持ちで公開されたこの動画だが、彼らは一気に世界中から注目されることになる。

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