ソニーグループは2023年1月4日(現地時間)、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2023」に合わせてプレスカンファレンスを行い、ホンダとの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティで販売する新型車などについて発表した。
ソニーグループは2023年1月4日(現地時間)、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2023」(2023年1月5〜8日、米国ネバダ州ラスベガス)に合わせてプレスカンファレンスを行い、ホンダとの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティで販売する新型車などについて発表した。
プレスカンファレンスの自動車に関する部分には、ソニー・ホンダモビリティ 代表取締役会長兼CEOの水野泰秀氏が登壇し、ソニー・ホンダモビリティで展開するブランド名が「AFEELA(アフィーラ)」だと発表した。モビリティが“知性を持つ存在”として感じることや、モビリティとITによって人と社会を感じることという意味を込めたという。
ソニー・ホンダモビリティとして開発を進めている乗用車のプロトタイプも初披露した。プロトタイプは5人乗りのセダンタイプで、車両サイズは全長4895×全幅1900×全高1460mm、ホイールベースは3000mmだ。駆動方式はAWD(全輪駆動)となる。
このプロトタイプをベースに開発を進めて、2025年前半から先行受注を開始し、2025年中に発売する。生産はホンダの北米拠点で行う。納車は北米が2026年春からとなる(過去の会見では2026年後半に日本でも納車と発表されている)。
プロトタイプのデザインについては、「今までの車両デザインに求められた個性や造形の在り方を見つめ直すとともに、積み上げられてきた価値観を磨き上げることで、本質的な価値を浮き彫りにし、ピュアで強いデザインに昇華することを目指した」という。クルマの構成要素が、動力性能やパフォーマンスから、ソフトウェアやネットワーク、ユーザーエクスペリエンスに移行していく中での新たなモビリティの価値基準を示すことを目指した。
エクステリアには、モビリティと人がコミュニケーションをとるための「メディアバー」を搭載している。インテリアは、まゆに包まれたようなラウンド基調のデザインとした。注意をそらす装飾を極力なくすとともに、カラーリングもシンプルにしたという。
提供価値の1つにAutonomy(自律性)を掲げており、特定の条件下でのレベル3の自動運転システムの搭載を目指すとともに、市街地などより広い運転条件下に対応したレベル2+の自動運転システムも開発している。こうした自律性の実現に向けて、Qualcomm Technologies(クアルコム)の「Snapdragon Digital Chassis」のSoC(System on Chip)を採用し、最大800TOPS(1秒当たり800兆回の演算処理を行う)の演算性能を持たせる。また、今回発表したプロトタイプにはカメラや超音波ソナー、ミリ波レーダー、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)、ToFセンサーなどを合計45個搭載した。
クアルコムのSoCは自動運転システムだけでなく、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)、インフォテインメントシステム、テレマティクスサービスなど主要な機能に採用する。
車内をエンターテインメント空間に拡張するため、メタバースなどデジタル技術をフル活用する。Epic Gamesと協力して、モビリティにおける新しいエンターテインメントの価値観やコンセプトを検討していく。AR(拡張現実)を使ったナビゲーションシステムも提供することを目指す。
プレスカンファレンスでは、ソニーグループ 会長兼社長 CEOの吉田憲一郎氏が同社初となる超小型人工衛星「EYE」を2023年1月3日に打ち上げたことも明らかにした。これは「STAR SPHERE」というプロジェクトで、超小型人工衛星には遠隔での操作や撮影が可能なカメラが搭載された。ソニーグループのCMOSイメージセンサーの技術も採用されている。宇宙の視点を身近なものにすることで、地球環境や社会課題を考えるきっかけを提供することを目指している。
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