ソニーとホンダの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティは2022年10月13日、設立発表会見を開いた。高付加価値型の「エレクトリック・ビークル(EV)」を共同開発し、モビリティ向けサービスの提供と併せて事業化する。
ソニーとホンダの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティは2022年10月13日、設立発表会見を開いた。高付加価値型の「エレクトリック・ビークル(EV)」を共同開発し、モビリティ向けサービスの提供と併せて事業化する。
新会社の第1弾となる商品は2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売する。販売はオンライン中心とする。2026年春に北米で、同年後半に日本で納車する。生産は北米のホンダの拠点で行う。欧州なども視野に日米以外の販売地域も検討する。商品の価格帯については明らかにしなかったが、「かなりの価値をつけていくのでそれなりの価格帯になるが、価格に見合った内容の装備にしていく」(ソニー・ホンダモビリティの代表取締役会長兼CEOの水野泰秀氏)。
販売やアフターサービスだけでなく、バリューチェーン全体でユーザーとの関係を築くためにリアルとデジタルを融合させたサービスを提供するという。ユーザーとダイレクトにつながり続けるためのネットワークを構築し、商品開発への参加や、販売後のパーソナライズされたユーザー体験の提供などを計画している。
「これまでの新車販売は車両のマネジメントが中心だった。ソニーが持つソフトウェアの知見を活用しながら、ユーザーと長く付き合うマネジメントを実現していきたい。車両や部品のメンテナンスでのビジネスがなくなるわけではないが、長い目で見たときにリカーリングビジネスが収益に貢献していくだろう」(水野氏)
また、商品の所有に関わらずブランドに共感した人が集まるコミュニティーをつくり、さまざまな産業を支えるパートナーと新たな体験価値創出に向けた協業にも取り組むという。
新会社は、「多様な知で革新を追求し、人を動かす」を企業パーパスに掲げる。ソフトウェアを中心とした新技術の投入や、他社とのパートナーシップの構築を積極的に行い、新しいアイデアを採用することで高付加価値型の商品やサービスの提供を目指す。経営方針に共感する顧客やパートナー、クリエイターなどがオープンに参加できる機会を積極的につくるとしている。
商品に採用する技術の一部についても言及した。自動運転システムはレベル3の搭載を目指す。レベル3の作動条件よりも広い条件下での運転支援機能や、レベル2+のシステムについても開発する。自動運転向けには演算性能が合計800TOPS以上(1秒当たり800兆回以上の演算が可能)の高性能SoC(System on Chip)を採用する予定だ。
HMI(ヒューマンマシンインタフェース)にも最新のSoCを2個搭載する。従来の機能のECUは高性能な統合ECUに集約する。車内では、運転以外の楽しみを提供するとしている。メタバースなどデジタル技術をフルに活用し、リアルとバーチャルを融合しながら新たなエンターテインメントの可能性を追求するという。
車載ソフトウェアからクラウド上のソフトウェアまで一貫した統合的なフレームワークを用いて、サービス全体のアーキテクチャを設計する。モビリティを「移動体験サービス」と捉えてサービスを開発する。クラウドサービスのプラットフォームはソニーモビリティが手掛ける。
ホンダとソニーは2022年3月に戦略的提携で基本合意し、同年6月には新会社設立に関する契約を締結していた。
ソニー・ホンダモビリティの代表取締役会長兼CEOはホンダの水野泰秀氏が、代表取締役社長兼COOはソニーの川西泉氏が務める。資本金は100億円で、ホンダとソニーの折半出資だ。本社は東京都港区に置く。
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