半導体不足、全固体電池、リチウムイオン電池のライフサイクル……2022年の話題オートモーティブ 年間ランキング2022(1/2 ページ)

2022年も残すところ数日となりました。2022年はどんな1年でしたか。関わっていた新型車やその部品の量産が無事に始まったなど、区切りを迎えてひと安心だった方。現場がつつがなく運営されるよう陰で尽力された方。つらいことや難しいことに直面して疲れた方。みなさん1年間お疲れさまでした。

» 2022年12月26日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 2022年も残すところ数日となりました。2022年はどんな1年でしたか。関わっていた新型車やその部品の量産が無事に始まったなど、区切りを迎えてひと安心だった方。現場がつつがなく運営されるよう陰で尽力された方。つらいことや難しいことに直面して疲れた方。みなさん1年間お疲れさまでした。

 ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシア事業を売却する企業も複数ありました。ロシアのビジネスに関わっていた、あるいは何らかの接点があった方にとっては、残念な1年だったことでしょう。私が大学を卒業して自動車メディアに職を得た約10年前、自動車産業は成長市場としてBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に大変な期待を寄せていました。その一角から撤退するのですから、残念という言葉には収まりきらないかもしれません。

 さて、「あれは今年じゃなくて去年だった……」「あのクルマ発売されてもうX年なの!?」と思うことが年々増えてきました。記憶だけを頼りにするとあやふやなこともありますので、2022年に公開されたオートモーティブフォーラムの記事から1年を振り返ってみましょう。


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半導体不足の影響はまだ終わっていない

 1位は半導体不足解消の見通しについてコメントした2月のデンソーの記事でした(半導体不足の影響は2022年末まで、「夏から秋にかけて“援軍”が来る」)。一時期ほどの混乱ではありませんが、半導体不足の影響は続いており、トヨタ自動車やホンダは毎月のように稼働調整の予定を発表しています。また、トヨタ自動車は、納車時に2個渡していたスマートキーを1個に減らして、もう1個は後日渡すという措置を継続しています。2023年1月分の生産車種では、トヨタブランドとレクサスブランド併せて11車種がその措置の対象です。まだまだ綱渡りが続いている様子がうかがえます。

 7位にランクインしたのも、半導体不足の影響に関する1月のトヨタ自動車の記事でした(半導体不足でトヨタが2月に生産調整、2021年度通期で900万台下回る見通し)。稼働調整が重なり、2021年度通期の生産台数を下方修正せざるを得なくなった、という内容でした。「稼働調整があった」「計画を下方修正した」という文言はネガティブで注目を集めやすいですが、コロナ前つまり2019年やそれ以前と比べてどうかをチェックするのも重要です。

トヨタ自動車が2022年11月に発表した4〜9月期決算の資料。毎月稼働調整があったとしても、コロナ前よりも高い水準の計画であることが分かります。計画が守られないことはサプライヤーにとって大きな負担ですが、トヨタ自動車は頻繁に計画を見直し、サプライヤーにも早い段階で情報を共有しているとのことです[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

電池のリサイクルとリユース

 2位は連載「今こそ知りたい電池のあれこれ」のリチウムイオン電池のリサイクルに関する記事でした。車載用リチウムイオン電池は、リサイクルの前にあるリユースも大切なテーマです。車載用では寿命とされても多くの容量が残っており、定置用蓄電池など別の用途に「再利用」(リユース)できるのではないかと考えられているからです。

 生産(採掘)されてから廃棄されるまでの「ライフサイクル」全体でCO2排出を減らすことが近年盛んに議論されていますが、リユースやリサイクルはライフサイクル全体のCO2排出削減においても避けて通れません。

 その一方で、リユースやリサイクルに伴うコストとのバランスをとれるかどうかも、ビジネスの面で、また持続可能性の面で課題です。さらに、リサイクル工程でもCO2が排出されることも考慮に入れなければなりません。このあたりは、5位にランクインした記事でも触れられていますので、ご覧ください(EVは環境に優しいのか、電池のライフサイクルでのCO2排出量を考えるポイント)。

 連載の著者である日本カーリットの川邉裕氏は、連載の各回において、まだ答えが出ていないことや決着がついていないことにも積極的に言及します。川邉氏の連載に限らず、電池にまつわる課題に言及するとEVの普及に反対しているとか消極的であると捉えられることがありますが、課題は技術開発やビジネスの新たなチャンスです。前向きに捉えたいですね。

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