大阪大学は、アンドロイドロボットの顔の表現性能を厳密に評価する、新しい手法を発表した。皮膚の各部が運動し得る空間範囲を「顔の表現力」の数値指標として採用している。
大阪大学は2022年8月18日、アンドロイドロボットの顔の表現性能を厳密に評価する、新しい手法を発表した。皮膚の各部が運動し得る空間範囲を「顔の表現力」の数値指標として採用している。この手法を用いて、アンドロイドの表現力のレベルが顔の上と下で異なること、各部分に効果的な設計改善指針が得られることを示した。
アンドロイドの顔は、皮膚の内面に搭載した機械装置で皮膚を変形させて、感情や性格、意図の情報を表示するディスプレイ装置だ。従来は、喜びや悲しみなど特定の表現パターンに焦点を当て、皮膚全体の動きから評価していた。
新手法は、機械装置と皮膚がつながる全ての駆動点について、最大限に動かした際に生じる皮膚各部の動きのバリエーションを光学式モーションキャプチャーで精密計測し、皮膚が動き得る空間範囲を表現力の数値指標とした。数値が大きいほど、「この顔におけるその部分の表現力は高い」と判断される。
最近開発された2体のアンドロイドと成人男性3人を対象に、新手法を用いて評価した。その結果、成人男性に比べ、アンドロイドの3次元的な表現力は、顔上部のほとんどで1桁、下部で2〜3桁低いことが分かった。皮膚各部で最も運動範囲が広い一方向に限定すると、顔の下部は1桁低かったが、上部で成人男性と同程度だった。
こうした表現力のレベル差は、皮膚の運動範囲を近似八面体表示することで確認できる。
これらの成果から、アンドロイドの表現力の向上には、顔の上部は従来にはない方向への運動を可能にすることが効果的だといえる。下部については、従来の方向への運動についても改良が必要であることが示された。
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