スマートねじや工程監視センサー、5G活用制御など、インダストリー4.0最新研究 : ハノーバーメッセ2022 (3/3 ページ)
フラウンホーファーIPT(Institute for Production Technology)は、他研究所やパートナーのGerman Edge Cloudと共に開発した「フラウンホーファーエッジクラウド」に関するデモを展示した。
展示していたデモは、4つのアクチュエーターが台の上でピンポン玉を落ちないように跳ね続けさせる、という内容で、5G(第5世代移動通信)およびTSN(Time-Sensitive Networking)を利用したクラウドとマシン間のリアルタイムデータ処理をアピールしたもの。透明な台の下に設置したカメラでピンポン玉の位置を撮影しエッジクラウドに送信、エッジクラウドは数ミリ秒以内にアクチュエーターにコマンドを送信し、ピンポン玉が常に台の中心で跳ねるように動作させている。
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4つのアクチュエーターが台の上でピンポン玉を落ちないように跳ね続けさせるデモの様子[クリックで動画再生]
なお、アクチュエーターのうち2本は5G、別の2本はTSNで通信する仕組みになっており、説明員は、「デモでは、5Gが性能的に全くケーブルに劣らないことを示しているうえ、画像に基づく計算およびアクチュエーターの制御という高度な処理を、高速な応答速度で対応できていることが分かる」と強調していた。
このほか、ブースではフラウンホーファーIWU(Institute for Machine Tools and Forming Technology)が、水素発電システム(電解槽と燃料電池)の製造コストを大幅に削減するための大量生産プロセスを構築するプラットフォーム「Reference-factory.H2」について紹介するなどしていた。
Reference-factory.H2は、電解槽と燃料電池について、費用対効果の高い大量生産を可能にする生産技術と設備の開発を目的としている。メンブレン電極アセンブリ(MEA)やバイポーラプレート(BPP)など、電解槽と燃料電池の構成要素の製造プロセスをモジュール化したシステムを構築。個々の工程を遂行するために必要な機械やシステムも提供し、個別のプロセスステップから、プロセスチェーン、サプライチェーンまでの開発/構築を支援する。
また、デジタルツインを用いたデジタルプラットフォームも構築し、それぞれの生産プロセスやプラントをネットワーク化することで詳細なシミュレーションが可能となり、効率的な生産に適した材料、ツール、プラントを選択することができるようになる。説明員は、「プロセスチェーンまでの全体の相互関係を明確にし、水素システムの製造にかかるコストを評価することができる」としている。
Reference-factory.H2のモックアップ[クリックで拡大]
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