領域最適化の基本的な考え方を理解する:フリーFEMソフトとExcelマクロで形状最適化(11)(5/5 ページ)
式29に比例する力を領域の輪郭に与えて、弾性変形解析をした変形が次世代の領域の形状で、この形状による目的関数値は、現在の世代の目的関数値よりも小さくなるのです。力の方向は、領域の輪郭の法線ベクトルnの方向です。
引張応力が発生しているときの応力はプラス、ひずみもプラスで、圧縮応力が発生しているときの応力はマイナス、ひずみもマイナスなので、式29第1項の(応力×ひずみ)は必ずプラスの値になります。
式29第2項は、第1項による計算の結果、領域の体積が大きくなったら領域の体積が小さくなるような力を領域の輪郭に与えることになります。
図3に領域の輪郭に与える力を示します。力法は、この力を与えて弾性解析して、その変形後の形状を次世代の形状とし、次世代の形状での目的関数値が、前世代の形状での目的関数値よりも小さくなるはず……という方法です。
図3 領域の輪郭に与える力[クリックで拡大]
次は、この考え方をプログラムに落とし込むための具体的なアルゴリズムについて説明します。お楽しみに! (次回へ続く)
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高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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