領域最適化の基本的な考え方を理解するフリーFEMソフトとExcelマクロで形状最適化(11)(3/5 ページ)

» 2022年06月15日 07時00分 公開

領域Ωsを求めるってどういうこと?

 「物体力と外力がなす仕事量が最小になるような領域Ωsを求めてください」というのが命題でした。筆者が経験した数学は、数を求めることでした。例えば、領域をスプライン曲線で表現し、スプライン曲線のパラメータを求めるというのなら分かります。しかし、今回はパラメータなしの領域Ωsを求める問題です。さて、どうするのでしょうか。

 目的関数は式1、制約関数は式2式3なので、ラグランジュ関数Lは次式で定義できます。ここでラグランジュ乗数はwとΛとなります。

式19 式19

 ラグランジュ関数Lを微分したものがゼロというのが「ラグランジュ未定乗数法」でした。ラグランジュ関数Lを微分したものは、参考文献[1][2][3]によると式20で示されています。本連載で、あえて使ってこなかったドット「・」(ニュートンの記法)は微分を意味し、LのEular導関数、あるいは物質導関数です。ダッシュ「’」(ラグランジュの記法)も微分を意味し、Lの形状導関数です。このあたりの詳細については、参考文献[1][2][3]を確認してみてください。

式20 式20

 lG(V)は次式で表されます。

式21 式21

 2つのベクトルVとGが登場しました。

 図1は、初期領域Ωと変動後の領域Ωsとの1対1の写像と捉えることができて、写像Tsとして表現できます。写像の関係を次式で表現します。

式22 式22

 媒介変数sは「変動の履歴」を表しています。領域の変動は、次のような初期条件と微分方程式を用いて表現できます。

式23 式23
式24 式24

 上式は微分なので、ベクトルVは、最初の位置がXの点の移動経路(直線ではなく曲線です)が、xに至ったときの移動の方向(速度場)と解釈できます。Vは1階微分なので形式的に次式を書くこともできます。Taylor展開ですね。O(|Δs|)は微小項です。

式25 式25

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